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用語集 – テクノロジー

エコキュート

正式名称は「自然冷媒ヒートポンプ給湯機」で、「エコキュート」は関西電力株式会社の登録商標です。エアコンにも用いられている「ヒートポンプ技術」によって、大気の中から熱を集めてお湯を沸かす給湯機です。このため、電気エネルギーだけで発熱してお湯を沸かす方法よりも、大幅に電力消費量を抑えられます。また、フロン系冷媒ではなく二酸化炭素を冷媒に使用するため、オゾン層を破壊する心配がありません。

出荷台数/価格感

出荷数量は2002年度頃から2010年度まで急速に進展し、年間40~50万台で推移しながら、2018年6月に累計出荷台数600万台を超えました。2030年度までに1400万台の普及が見込まれています(出所:(一社)日本冷凍空調工業会)。なお、価格を見ると、市場でもっとも種類の多い「年間給湯保温効率3.3」の機種では、20万円強が平均的な価格となっています(ヒートポンプ蓄熱センター「ヒートポンプの将来像分析及び普及見通し調査」報告書、2017.8より)。

蓄熱槽

ヒートポンプや蓄熱システムに不可欠な、文字通り熱を蓄えておく設備です。熱をためておくことで、熱の生産と消費の時間にズレをつくり出すことが可能です。

蓄熱槽のメリット

例えば、水や氷を使った蓄熱槽なら安価な深夜電力で冷温熱を作ってためておき、日中の冷房に利用するといった使い方ができます。これにより、公共的には昼間の電力使用量のピークを夜間へ移行したり(電力の負荷平準化、昼間最大電力の削減)、災害時に蓄熱槽の水を生活や消防に活用可能することができます。また需要家単位では、変化する空調負荷の影響を受けずにヒートポンプの効率的な一定運転が可能なため、省エネ性や環境性を高めることができます。さらには、経済性の面でも熱源設備容量を小さくできるため、契約電力削減により基本料金が抑えられます。

コージェネレーション

従来は排出されていただけの発電時の熱を、エネルギーとして活用することによって給湯や暖房なども行う「熱電併給システム」が、コージェネレーションシステムです。一次エネルギーの消費削減に加え、二酸化炭素の排出量を減らすこともできます。電力会社などでは化石燃料による発電を利用したコージェネレーションシステムが普及し、一般家庭などでは天然ガスを熱源にしたコージェネレーションシステム(ガスコージェネレーション)が多く利用されています。

出荷台数/価格感

一般家庭における普及拡大が図られています。家庭用コージェネレーションシステムの代表的な設備が燃料電池の「エネファーム」です。普及台数は2017年2月までに累計で約19.6万台となっており、2020 年に140万台、2030 年には530 万台を普及させることを目標としています。このため継続して設備価格の低減を促しており、2016年度にPEFC型が113万円でSOFC型が135万円だった平均販売価格を、2020年頃にはPEFC型が80万円でSOFC型が100万円とする目標が立てられました。

EV(電気自動車)

Electric Vehicleの略。蓄電池を搭載し、電動モーターを駆動させて走る自動車です。内燃機関のように駆動エネルギーの発生で二酸化炭素を排出しないのが特長です。また、充電に夜間電力などを活用することで、より効率的で経済的なエネルギー利用ができるため、資源や環境への意識の高まりとともに社会的な注目を集めています。

今後の普及について

経済産業省が2010年4月に「次世代自動車戦略2010」を策定し、EVやPHV(プラグインハイブリッド自動車)の普及を進めています。このため、「蓄電池の性能向上・コストダウンのための研究開発の推進や量産効果の創出」「部品の軽量化・省エネ化」「国際標準化の推進」あるいは「インフラ整備」などの総合的な取り組みを行っています。

FCV(燃料電池自動車)

Fuel Cell Vehicleの略。水素と酸素の化学反応から電力を取り出す発電機構「燃料電池」を利用して発電しながら、電動モーターを駆動させて走る自動車です。内燃機関のように駆動エネルギーの発生で二酸化炭素を排出しないのが特長です。

今後の普及について

普及には課題があり、車両価格が依然高価であること。そして、水素の供給設備「水素ステーション」が十分に整備されておらず、実用的に利用できるエリアが限られている点です。水素ステーションは「首都圏」「中京圏」「関西圏」「北部九州圏」の四大都市圏と、四大都市圏を結ぶ幹線沿いを中心に整備が進められており、2019年12月の時点で全国112箇所にて運用されています。日本国内における保有台数は2018年の時点で約3,000台となっており、2020年までに4万台程度、2025年までに20万台程度、2030年までに80万台程度の普及を、国では目標として掲げています(ストックベース)。

蓄電池

放電のみで一回使いきりの電池(一次電池)と違い、充電することでくり返し使用できる電池(二次電池)のことです。身近では、さまざまな電子機器やEV等のバッテリーなどに利用されています。「鉛蓄電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、NAS電池」など、蓄電池にはいくつかの種類があります。

蓄電池の役割

電気をためておけることで、さまざまな利点があります。まずは、余剰電気を保存しておけること。発電量が天候に左右される太陽光や風力などの再エネ電源で、需要を上回って発電された電気を蓄電池にためておくことで後から利用できます。逆に、需要を発電が下回った際には不足を補填することで、電力系統の安定が図れます。電気の使用量が上がる時間帯に蓄電池から電気を使えば、電力消費量の最大値を抑える「ピークシフト」にも役立てられます。また、災害などで停電が発生した場合には、非常用電源として使うことができます。

スマートメーター(Smart Meter)

電気の使用量をデジタルで測定し、データを遠隔地に送れる電力量計(電力メーター)のことです。電力メーターチェックを、検針員が一軒ごとに行う必要がなくなります。また、単に1か月の電気使用量を確認するだけでなく、30分単位で細かく使用量を把握することが可能であるため、電気の使用量をコントロールしやすいというメリットもあります。

水道における今後の利用

スマートメーターは水道事業においても活用されていきます。戸別の需要データは、全体の需要を把握する基礎データとなり、エリア別・時間帯別の水需要を把握することもできます。導入の背景には、人口減少や水道管等の設備老朽化があります。まず、経済成長期のような増加を前提とした推量による需要予測ができなくなった難しさがあります。そして投資計画では、公営事業であるため予算を抑えた効率的な設備更新が必要です。管路や施設をダウンサイジング化しつつ、現在給水の責務を果たすことが求められます。そこで、スマートメーターにより使用量や流量を管理することで、老朽化の度合いを算出し、優先順位をつけた設備更新を進めています。

デマンドコントローラー

30分間の平均使用電力を「デマンド」と言い、月間で最も大きい値を「最大デマンド」と言います。そして、最大デマンドの目標値を設定して電気機器を管理することで、デマンドが大きくなることを抑制して電気の基本料金の低減を図るのが「デマンドコントロールシステム」です。電力の使用状況を監視し、デマンド値を超えそうになると通知します。この通知を受信し、自動で空調温度調整などを行うのが「デマンドコントローラー」です。

主なメーカー(五十音順)

大崎電気工業株式会社、九電テクノシステムズ株式会社、住友電気工業株式会社、東光東芝メーターシステムズ株式会社、パナソニック株式会社、株式会社パワーシステムズ、株式会社日立産機システム、富士電機株式会社、三菱電機株式会社 など

パワーコンディショナー

「直流」電気を「交流」電気に変換(インバータ機能)し、家庭用の電気機器などで利用できるようにする機器です。太陽電池やエネファームなど、家庭用発電システムでつくった直流電力を交流電力に変換し、家庭消費や蓄電、売電などに適した出力に整えます。

主なメーカー(五十音順)

IDEC株式会社、ABB株式会社、オムロン ソーシアルソリューションズ株式会社、京セラ株式会社、株式会社ジーエス・ユアサ コーポレーション、シャープ株式会社、新電元工業株式会社、株式会社ダイヘン、日新電機株式会社、パナソニック株式会社、富士電機株式会社、三菱電機株式会社 など

CT(変流器)

「Current Transformer」の略。計器用変圧器(VT)と変流器(CT)を総称する「計器用変成器」は、交流回路の高電圧や大電流を、低電圧や小電流へ変換(変成)する機器です。「指示電気計器、電力量計、保護継電器」などと組み合わせて使用されます。CTは、大電流回路の電流を、計器や継電器に必要な電流に変換します。

主なメーカー(五十音順)

大崎電気工業株式会社、河村電器産業株式会社、株式会社東光高岳、東光東芝メーターシステムズ株式会社、東洋計器株式会社、パナソニック株式会社、富士電機テクニカ株式会社、三菱電機株式会社 など

EMS

「Energy Management System」の略。エネルギーの使用量見える化や、計測データに基づく監視/制御を行うシステムです。EMSには、ビルのエネルギーを管理するBEMSやマンションのエネルギーを管理するMEMS、その他HEMS、CEMS、FEMSといった多種多様な利用ケースが存在します。
従来は、省エネ観点によるエネルギーコストの削減を目的とした管理が多数であったが、再生可能エネルギーの普及に伴い、よりきめ細かな発電/負荷設備の管理および制御が求められています。

参考

CIS

「Customer Information System」の略。エネルギー販売事業において、顧客管理/料金計算/請求・入金管理等を支援するシステムです。電力のCISでは、電力広域的運営推進機関(OCCTO)のスイッチング支援システムと連携し、スイッチング申請を自動で行うシステムもあります。
2019年11月から順次出現する卒FITに対して、発電買取契約の管理や買取電力の料金計算機能を提供する企業も徐々に増えている状況です。

参考

ブロックチェーン

ブロックチェーンとは、取引記録を順番にまとめて格納したデータの塊(ブロック)をチェーン上につなげて記録する技術のことです。

ブロックチェーンには中央集権的な管理者が存在せず、全ての取引の記録をネットワークの参加者で共有し、信頼性を担保しています。そのため、従来の集中管理型のシステムと比較して、「関係者間でデータを共有するため第三者機関による保証が不要」、「改ざんが極めて困難」、「過去に遡りデータを確認可能」 という特徴を持つとされます。

上記特徴は環境分野において有望な応用先であり、ブロックチェーンの活用例としては下記のようなものがあります。

  • 電力会社を介さない電力の個人間取引(P2P 取引)

  • 再生可能エネルギーの利用による CO2 削減の環境価値の取引

  • 廃プラスチックのトレーサビリティ(製造・流通過程の追跡)

ブロックチェーン
出典:経済産業省「平成27年度 我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(ブロックチェーン技術を利⽤したサービスに関する国内外動向調査)報告書概要資料」

関連ソリューション

V2H

V2H(Vehicle to Home)とは、「車から家へ」という意味で、EVのバッテリーに蓄積される電気を家庭で利用できる形にして送るシステムのことです。通常、EVは家庭のコンセントから充電することは可能ですが、家庭に電気を供給することはできません。EVとVH2機器をつなぐことで、それが可能となり、EVを蓄電池として利用することができるようになります。

V2Hを導入するメリットとして下記の2点が挙げられます。

  • 電気代の節約

    電気料金の安い夜間にEVを充電し、蓄えた電力を日中に使うことで、電気代の節約が可能です。また、太陽光発電を導入している家庭の場合、余剰電力をEVに蓄えて利用することで、さらに電気代を節約できます。

  • 災害時の備えになる

    EVに蓄えた電力を、停電時の非常用電源として使うことができます。EVのバッテリーは一般的な家庭用蓄電池よりも容量が大きく、停電時でも数日間電力を家庭に供給できるとされています。

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