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発電事業

火力発電(石炭)

石炭は、数千万年前~数億年前の間に堆積して地中に埋もれた植物が、熱や圧力を受け、炭素が濃集されて生成された、岩石状の化石エネルギー資源です。これを燃料にして発生させた蒸気によりタービンを回転させて電力を得る方法が「石炭火力発電」です。

火力発電(石炭)のメリットとデメリット

メリットとしては、他の化石燃料と比較した場合、まずは安定した供給が望めます。アジア大洋州、ヨーロッパやユーラシア、北米など、賦存地域(理論上、天然資源の存在が算定される地域)が世界に分布していて地理的な偏りが少なく、政情が安定した国での生産量が多いことも理由です。また、可採埋蔵量(技術的・経済的に採掘が可能とされている埋蔵量)が多く、世界で約8,475億トンあるとされており、これは100年分以上の可採年数(経済的に採掘できる年数)に当たります。
一方のデメリットは、二酸化炭素の排出量が多い火力発電の中でも、石炭の燃焼による発生量は他の化石燃料より多いことです。地球温暖化の対策として「脱炭素社会」を進めようとする国際社会の流れの中で、石炭による火力発電の削減が強く叫ばれています。

火力発電(石油)

石油は、炭化水素(炭素と水素の化合物)を主成分とした液状の鉱物資源で、起源には諸説あります。これを燃料にして発生させた蒸気によりタービンを回転させて電力を得る方法が「石油火力発電」です。
日本では一次エネルギー資源の約4割を石油に依存しています。

火力発電(石油)のメリットとデメリット

メリットは、他の化石燃料と比較した場合、貯蔵や運搬が容易な点です。貯蔵が容易で短期契約が多い石油は柔軟性の高い供給が可能な燃料で、ニーズの増減に対して細かな対応が可能です。また、環境への負荷がLNG(天然ガス)の次に小さい化石燃料です。
一方、いちばんのデメリットは経済性で、石炭やLNGに比べて価格が高いことです。そして、8割以上を政情の不安定な中東から調達しているためリスクが伴います。世界全体における埋蔵量も、今後50年分ほどと言われています。

火力発電(天然ガス)

天然ガスは、地層内の原油や石炭などが熱や微生物によって分解され、気化して生成された化石エネルギー資源です。これを燃料にして発生させた蒸気によりタービンを回転させて電力を得る方法が「天然ガス火力発電」です。あるいは、ガスコージェネレーションシステムによる発電のことです。日本ではメタンを主成分とした液化天然ガス(LNG)が使われ、火力発電の燃料の中で最も高い割合を占めています。

火力発電(天然ガス)のメリットとデメリット

メリットは、燃焼時に排出される二酸化炭素や窒素酸化物が他の化石燃料よりも少なく、環境への負荷が小さい点です。
一方のデメリットは、調達の柔軟性が低いことです。貯蔵に手間がかかり、基本的に長期契約であることが理由です。また、石油のように価格が不安定で、世界全体における埋蔵量も石油とあまり変わらない50年分ほどと言われています。

水力発電

高所から低所へ水を落下させ、その運動エネルギーにより水車やタービンを回転させて電力を得る方法です。主な運用方法には、川が流れる力でそのまま水車を回す「流れ込み式(自流式)」。比較的小規模の池を作って水を貯めておき、必要に応じ川へ放水して水量を増やすことで発電量を増やす「調整池式」。川をダムでせき止めて大量に貯水し、渇水や電力需要が高い時期に放流して発電する「貯水池式」。発電所の上部と下部に調整池を作り、余剰電力のある夜間に水を汲み上げ、電力消費が上がる昼間にその水を放流して発電する「揚水方式」の4種類があります。

水力発電のメリットとデメリット

まず、発電方式としてのメリットには「安定供給、長期稼働、低炭素」が挙げられます。自然の条件に左右されずに一定量を安定して発電することができ、発電所を建設すれば数十年にわたって稼働させられ、燃焼エネルギーを使わないため発電時のCO2排出がありません。そして何より、日本は水資源に恵まれているため、輸入に頼らずに調達できる貴重なエネルギーです。昔から盛んに利用されてきたことから進んだ技術やノウハウを豊富に蓄積しており、さらなる開発も期待できます。
一方、大きなデメリットはないものの、いくつかの課題があります。まずは、事業開始の前に長期間にわたって河川の流れの状況を調査する必要があり、場合によっては建設できないというリスクがあります。また、ダムなどを建設することによる周辺環境への影響や、水利権の調整などについて、地域の理解や協力を得ること。さらには、立地や規模によって建設コストが比較的高くなる等があります。

原子力発電

ウランが核分裂する際に放出する熱で発生させた蒸気により、タービンを回転させて電力を得る方法です。発電する段階で二酸化炭素を排出せず、使用済みの燃料を処理して再利用できる点で、エネルギー資源の乏しい国での発電方法として重視されてきました。一方で、危険性も指摘される方法であるため、比較的安全なウラン燃料の使用や、「制御棒」による核分裂のコントロールなど、慎重な運用・管理がなされています。

原子力発電のメリットとデメリット

メリットとして、まずは燃料の安定供給が可能であることが挙げられます。燃料のウランは、政情の安定した地域に埋蔵されており、安定した確保が可能です。また、少ない燃料で長期間発電ができ、使用済み核燃料も再処理して利用できるからです。さらに、これらによって発電コストにおける燃料費の割合が抑えられるため燃料費の変動の影響を受けにくく、電気料金の安定に役立ちます。そして、発電時に二酸化炭素を排出しないため、温暖化対策に寄与することができます。
デメリットは、放射性物質を扱うことによるリスクです。まず、使用済み核燃料の再処理によって発生する高レベルの放射性廃棄物は長期間にわたって放射線を発するため、地下の深い層へ埋設して処分しています。そして、仮に事故が発生してしまった場合には、大量の放射性物質が放出され、広い地域、場合によっては国や地球規模での放射能汚染を引き起こすことが懸念されています。

風力発電

風の力により風車を回転させて電力を得る方法です。大きな風力が必要で、設置に適した地域が限定的であるため、陸上だけでなく洋上への設置も検討・計画されています。

風力発電のメリットとデメリット

メリットは、燃焼による熱を利用しないため二酸化炭素の排出がなく、製造時の環境負荷も少ないクリーンな発電方法であることです。また、大規模に発電させることで発電コストを火力並みに抑えられるため経済性が期待でき、電気エネルギーへの変換効率も高い方法です。太陽光では発電できない夜間に、風があれば発電できることも利点です。
デメリットとしては、世界では発電コストの低下が進んでいるものの、日本では高止まりしていることです。系統制約、環境アセスメントの迅速化、開発段階での高い調整コスト(地元調整等)などが課題となっています。

太陽光発電(メガソーラー)

シリコン半導体などに光が当たると電気が発生します。この現象を利用し、太陽光を太陽電池(半導体素子)で電気へ変換して発電する再生可能エネルギーです。多くの発電方法と比較して高コストながら、近年は発電コストの低減が進み、日本でも東日本大震災が起きた2011年以降に導入が大きく伸びました。これを出力1,000kW以上の大規模システムで、遊休地や休耕地などの有効活用を目的に設置されているのがメガソーラーです。

太陽光発電(メガソーラー)のメリットとデメリット

メリットは、環境負荷が非常に低い点です。太陽の光は枯渇せず、火力発電のように大量の二酸化炭素も排出しません。そして、設置において多くの利点があることです。太陽光が降り注げば地域に制限がなく、屋根や壁などの未利用スペースを活かせるため、送電設備のない遠隔地(山岳部、農地など)の電源としても有効です。さらには、燃料の供給などが止まる災害時にも稼働できるため、貴重な非常用電源として頼れる方法です。
一方で、太陽光を利用するため、日照や気候の条件によって発電出力が左右される点がデメリットです。また、さらなる導入拡大のためには、いっそうの導入コスト低下を実現する技術開発が重要です。

地熱発電

地熱は、地球の内部に蓄積された熱エネルギーで、これを利用して発生させた蒸気によりタービンを回転させて電力を得る方法が「地熱発電」です。地球内部の熱エネルギーが地表の近くにないと発電に十分な高温が得られませんが、その点、火山帯にある日本には適しています。

地熱発電のメリットとデメリット

メリットは、燃料を必要としないため枯渇する心配が無い、持続・再生が可能なエネルギーであることです。大きな二酸化炭素の排出もありません。掘削した地下から常に天然の蒸気が噴出するため、時間帯や天候などに左右されず安定して発電できます。そして、発電に使った蒸気や熱水を、農業や魚の養殖、地域の暖房などに再利用ができるのも利点です。
デメリットは、地熱を利用する性質上、建設地が温泉などの施設がある地域と重なるため、地元の関係者と調整が必要なことです。

バイナリー発電

地熱発電の一種であり、200℃以上の高温の蒸気でタービンを回す発電方式に対して、中低温の蒸気を活用して水より沸点の低い媒体を加熱し、媒体蒸気でタービンを回して発電するものをバイナリー発電と呼びます。

バイナリー発電のメリットとデメリット

既存の温泉熱を活用することで、新たな掘削をすることなく地熱発電を実現します。従来の地熱発電では不十分とされていた温度帯の蒸気を利用でき、国としては現在、新エネルギーと定義しています。今後の地熱発電ならびに再生可能エネルギーの普及に大きく貢献するものと期待されています。

バイオマス発電

バイオマスは、動植物から得られるエネルギー資源のこと。これを燃料にして発生させた蒸気によりタービンを回転させて電力を得る方法が「バイオマス発電」です。例えば、本来なら廃棄されるだけの間伐材や未利用木材を加工し、燃料として活用しています。

バイオマス発電のメリットとデメリット

「クリーンなエネルギー」であるとされ、植物を燃料として排出された二酸化炭素が再び植物の成長によって吸収されれば、地球上の二酸化炭素を一定量に保てるという考え方によるものです。廃棄物の再利用や減少は、循環型社会構築に大きく寄与します。また、農産漁村にある家畜の排泄物や生ごみ、稲ワラ、林地残材など、捨てていたものをバイオマス資源とすることで、地域環境の改善や、自然の循環環境の機能・維持などを促し、その持続的発展を可能にします。

 

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