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2002年11月発刊 Vol.22 No.3 通巻75号
「Windows® Data Center II — ES7000で実現する大規模ミッションクリティカル・システム」

巻頭言
論文
- 常識が変わる大規模企業サーバの選択基準 >
- BANCS 接続システム(1) プロジェクト成功への鍵:POC 実践報告 >
- BANCS 接続システム(2) 補完機能開発で実現したHA システム構築 >
- BANCS 接続システム(3) ホストオンライン処理に要求される信頼性・パフォーマンスの実現 >
- BANCS 接続システム(4) 大規模トランザクション処理と高可用性を実現したBANCS センタ接続 >
- BANCS 接続システム(5) マルチプラットフォームサーバ間のデータ通信を実現したMQSeries 適用 >
- SAP R/3 システム移行におけるES 7000 の効果 >
- (株)ゆめカードにおける新クレジットシステム >
- ES 7000 を使用した流通系基幹業務システム構築 >
- 次世代インテル® Itanium® アーキテクチャ:インテル® Itanium® 2 プロセッサ >
- SQL ServerTM 2000 64 ビット版におけるスケーラビリティの拡大 >
- ES 7000 統合管理環境サーバナビゲーション・ツール >
- .NET フレームワークを利用したXML Web サービスの実現 >
- 新製品紹介 ACABによる ES 7000 システムの99.99%以上の可用性実現にチャレンジ >
BANCS 接続システム(1) プロジェクト成功への鍵:POC 実践報告 山岸重雄
M銀行新対外系(BANCS)システムは,世界初のWindows 2000 上での銀行基幹系システムであり,性能面では秒あたり132 電文の処理,可用性の面では99.99% の可用率が要求された.ES 7000 とWindows 2000 Datacenter Server は,当該システムへの初めての適用なので,性能,可用性とも未知数であった.そのため,綿密なるテスト計画を立案し,検証作業を行なう事により,早期に開発リスクの把握とリスクが顕在化した場合の適切な対応を行なう必要に迫られた. 本プロジェクトでは開発の各工程毎でのプロトタイピングやシミュレータを開発しての性能測定,米国UNISYS 社でのベンチマーク等あらゆる角度からのPOC(Proof Of Concept)を実施した結果,要求された性能要件,可用性要件が満足できることを検証した.
BANCS 接続システム(2) 補完機能開発で実現したHA システム構築 溝上昌宏
M銀行と日本ユニシス株式会社が再構築したBANCS システムはハードウェアにユニシス社のES 7000,オペレーティングシステムにマイクロソフト社のWindows 2000 Datacenter Server(以下,W2KDCS)を採用した勘定系ミッションクリティカルシステムである. 本稿では,システムの可用性(Availability)に焦点を当て,ES 7000 とW2KDCS の組み合わせで,如何にして高可用性(HA : High Availability)を実現したかを報告する.BANCS システムのHA 基盤として採用したクラスタサービスはWindows 2000 の標準的なコンポーネントであるが,厳しい可用性要件を実現するには標準的な機能だけでは不十分であったため,補完機能を開発してよりきめ細かな稼働監視と障害時対応を実現した.補完機能としては,アプリケーションやSQL Server などのプロセスの異常状態を詳細に検知する機能や複雑なフェイルオーバ条件の監視と制御を行う機能を実装した.
BANCS 接続システム(3) ホストオンライン処理に要求される信頼性・パフォーマンスの実現 平野敬幸,安室秀則
BANCS—AP ミドルは,BANCS システムにおいて,業務ロジックとBANCS 基盤の中間に位置し,業務ロジックの起動と業務遂行に必要な仕組みを提供する.また,システム要件を満たすため,BANCS—AP ミドルには可用性,信頼性,保守性,利便性が求められる.本稿では,BANCS—AP ミドルを構成するBANCS—AP スタータとControl クラスが,どのように要件を満たすための仕組みを実装しているかについて述べる.
BANCS 接続システム(4) 大規模トランザクション処理と高可用性を実現したBANCS センタ接続 綾野昌史
今回のBANCS システムは,性能要件,信頼性要件,可用性要件そして保守性要件と高品質な条件が要求されている.本稿では,BANCS システムとBANCS センタとの回線接続におけるインタフェース部分に着目し,特に ・可用性要件の解決策としてBANCS サーバをはじめ通信機器全てに完全二重化の相互バックアップ形態を採用 ・性能要件における弱点カバーの対策 の二つに焦点を当て,ミッションクリティカルなシステムであるBANCS システムをどのように実現したかを事例として紹介する.
BANCS 接続システム(5) マルチプラットフォームサーバ間のデータ通信を実現したMQSeries 適用 赤井貴
BANCS システムが勘定系システムのFEP と通信するためのインタフェースには, IBM 社のMQSeries を適用することとなった.MQSeries ではメッセージ送受信のインタフェースを非常に簡略化することができる反面,キューイング・インタフェースの性格上,リモート・システムの障害時などに,キューへのメッセージの滞留,処理の遅延が発生する可能性がある. 本稿では,データの即時処理が要求されるBANCS システムとFEP サーバとの通信において,データがMQSeries のキュー上で滞留する件数と滞留時間を最小限に抑えるために実装したインタフェースを中心に記述する.
SAP R/3 システム移行におけるES 7000 の効果 細川巧,寺井健二
ミノルタ株式会社ではES 7000 を用いて「SAP R/3」をWindows 2000 Datacenter Server 上で世界で初めて本番稼働させた.該社のR/3 稼働に求められた性能・運用要件は,プラットフォームにとって単に「動く」ではなく「限界性能で問題なく動く」点であり,その要件を満たすため,ミッションクリティカルOS であるWindows 2000 Datacenter Server に奥深く立ち入る必要があった.本稿では,該社での事例紹介を通じて,ES 7000 がSAP R/3 の稼働要件にいかに対応できたかを述べ,さらに大規模Windows サーバとしてのディスク,テープ等の周辺機器を含めた運用基盤の要件を論じた上で,実際の構築内容を紹介する.
(株)ゆめカードにおける新クレジットシステム 赤羽雅彦
今日,クレジットカードは,一般消費者の決済手段として,もはや欠かすことの出来ない存在となっている.これを支えるコンピュータ・システムには,銀行の勘定系システムと同等の可用性のほか,オンライン処理における即時応答性,バッチ処理における大量データ処理時の処理効率などが求められる. (株)ゆめカードでは,それまでの汎用機による基幹業務システムを,ES 7000 を中心とするオープン系サーバ上で再構築した.本稿では,この新クレジットシステムにおける,オンラインシステムの仕組みやクラスタリングを初めとする障害対策などについて述べる.
ES 7000 を使用した流通系基幹業務システム構築 田中敦
1990 年代の後半,WindowsNT 4.0 のリリースにより,Windows サーバを使用した業務システムが急速に普及した.しかし,当時は安定性が低いという理由により企業の基幹業務サーバは依然UNIX が主流であった.こうした中,2000 年に“Windows 2000 Data Center Server”と“UNISYS Enterprise Server ES 7000”が登場し,Windows サーバでミッションクリティカルな企業システム構築が現実のものとなった. 筆者の担当顧客では発注系・商品管理系業務といった基幹業務をUNIX サーバに実装しオープン化を実現していたが,導入から5 年が経過し,老朽化及び性能限界によるサーバ構成の見直しが必要となっていた. 当初UNIX サーバのグレードアップが検討されていたが, Windows 2000 Data Center Server+ES 7000 の持つ性能・可用性・拡張性・TCO(Total Cost of Ownership)削減といった点が注目され,ES 7000 の採用が決定した. 本稿では,UNIX サーバからの移行作業を通じ,基幹業務システムをどの様にWindows サーバに実装したか,又,ES 7000 がTCO 削減についてどの様に貢献したかについて明らかにする.
次世代インテル® Itanium® アーキテクチャ:インテル® Itanium® 2 プロセッサ 池井満
Itanium® プロセッサはEPIC(Explicitly Parallel Instruction Computing)と呼ばれる,機械語命令を用いて並列性を明示的に記述できるアーキテクチャを採用した.豊富なレジスタと実行ユニットを持ち,その他,プレディケーション,投機実行,ソフトウェア・パイプライニングといった機能を備えており,パイプライン・フラッシュを削減し,メモリロードのレイテンシの影響を最小限にしている.Itanium® 2 プロセッサはさらにメモリ整数演算ユニットを二つ増やしたほか,3 次キャッシュをダイ上に実装しメモリのバンド幅を3 倍にし,レイテンシを半分にしている.この結果,様々なアプリケーションの実行において, Itanium® プロセッサと比較してさらに1.5 倍から2 倍の性能向上を実現している.
ES 7000 統合管理環境サーバナビゲーション・ツール 清水孝美
近年,Windows オペレーティングシステムのサーバ機能の充実に伴い,Windows サーバを基幹業務サーバとして使用するユーザが増えている.サーバのオープン化もその一因ではあるが,メインフレームに代わって基幹業務の主役になりつつある.それに伴い,従来メインフレームに求められてきたデータセンターサーバの機能として,24 時間365 日の安定稼働やサーバの監視/管理機能がWindows サーバにも必須の機能になってきている.Unisys は,Windows サーバへのこれらの要求に対して,オペレーティングシステムとしてWindows 2000 Datacenter Server を提供し,また,サーバの監視/管理機能としてさまざまな機能を提供するソフトウェアツールを,Unisys Enterprise Server ES 7000 シリーズに標準搭載している. 本稿では,このES 7000 シリーズに標準搭載される統合的な監視/管理ツールである“サーバナビゲーション・ツール”で提供される各種機能の概略や特徴について解説し,推奨する監視モデルについて述べる.
.NET フレームワークを利用したXML Web サービスの実現 小林茂,牧野友紀
インターネット上のE ビジネスのIT 基盤として,XML,SOAP,WSDL,UDDI と言ったIT の標準化技術を利用したXML Web サービスが注目を浴びている. 本稿ではこのXML Web サービスの技術を紹介し, 実際のビジネスに適用する例として,倉庫業における郵船航空サービス株式会社のシステムをとりあげる.このモデルを題材にして,XML Web サービス・インタフェース設計上のノウハウ,システム構築上の考慮点,セキュリティ対策などに触れる.XML Web サービスの今後の技術動向についても概観する.
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