金融サービス
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2022年4月発行 Vol.41 No.4 通巻151号金融サービス
金融業界を取り巻く環境は急速に変化しています。BIPROGYグループは,環境変化に対応する金融機関の経営施策を支援するため,様々なITサービスやソリューションの提供に取り組んできました。こうした取り組みは,BIPROGYグループのPurposeである「持続可能な社会を創出」するための一歩になります。本特集号では,金融サービスへのBIPROGYグループの最新の取り組みを紹介する7編の論文及び記事を収録しています。
BIPROGY グループの金融分野の取り組み
金融業界・金融機関を取り巻く国内の環境には,急速に変化が起きている.金融機関は有効な経営施策をスピーディにうっていかなければならない.顧客の多様なニーズに対応するには,継続的な取引をするためのエンゲージメントの確立が重要になる.ビジネス活性化のため,人とのつながりやサービスの活用を推進していかなければならない.様々なパートナーと連携しサービス提供域内に流れるお金,情報,交換価値を増やし,循環させるマッチングビジネスを支援することが求められる.また,変化に対応していくためには,開発を短期間・低コストで実施でき,システム変更を柔軟に行える構造で,なおかつ新技術の取り込みが容易な基幹システムを備えることが求められる.BIPROGYグループでは,金融機関の経営施策を推進するため,様々なITサービスやソリューションの提供に取り組んでいる
大規模開発における生産性向上策実践事例の紹介
システム開発では様々な生産性向上策が存在し,大規模開発への適用事例はコストへの影響が大きいためナレッジ化しておくことが有効である.本稿では大規模開発のプロジェクト実践事例として「プログラムレス開発ツールであるODIP のBankVisionへの適用事例」と「リスクベースドテストの実践事例」について紹介する.実践事例を通じて,生産性向上とコスト最適化の観点から適用効果があることが確認できた.また,今後のプロジェクトでの適用効果を上げるための考察を行った.
オープン勘定系システムBankVision のクラウド化
地方銀行が地域社会全体のプラットフォームになるためにはクラウド技術の活用は必須である.BIPROGYはオープン勘定系システム”BankVision”のクラウド化(Azure化)を実現した.これにより,『顧客へのスピード感のある金融サービスの提供』『勘定系システム更改のスリム化』『付加価値型金融サービスの発展』を促進する.また,プロジェクトで得た知見を活かし,抽出した課題の解消を図ることで,より高品質で効率的な”BankVision”のクラウド化(Azure化)スキーム確立を目指す.
SurFIN:外国送金の受付から対外決済までをすべてデジタルで管理できるワークフローソリューション
在留外国人の増加,マネーロンダリングに対する規制強化など, 金融機関における外国送金事務の負荷は増加傾向にある. そのような背景の中, BIPROGYは,業務をデジタルで管理する仕組みと技術を用いて外国送金事務の課題を解決するワークフローソリューション「SurFIN」を開発した. SurFINはSaaSであり,送金依頼人向けの顧客チャネルから対外発信までのすべての業務をデジタルを利用して実行する.これにより,短期間・低コストでの導入だけでなく, SWIFT対応等,刻々と変化する金融機関のニーズに合わせて,高品質なサービスを持続的に提供するという,外国送金業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現する.
金融機関と顧客との絶え間ない接点を実装する“CX Linkage”
金融機関ではデジタル化を推進しており,デジタル技術を活用して新たな価値や顧客体験を提供することが望まれている.また,新たな顧客体験を継続して生み出すためには,「ユースケースの連結」や「データ連携による最適化」を継続して実施し,金融機関の共存や金融業界としての「デジタルトランスフォーメーション(DX)」を実現することが不可欠である.BIPROGYは,そのためのサービスとしてEltropy,Moneythor,Movenとそれらを含むサービスを連携・制御するCX Linkageを提供している.
データ利活用による地域金融機関への新たな価値提供の試み
当社は地域金融機関に対してデータ利活用のスキームを提案している.このスキームの目的は地域金融機関の役職員がデータを分析することで利用顧客に対する理解を深耕し,新たなチャネルや提案を生み出し,地域金融機関の収益向上に寄与することである.そのための施策として地域金融機関のデータを活用した業務改善や効率化を実現しデータ活用に対する理解を深める活動を推進している.この施策の手法として当社ではフェーズ1(データ活用基盤構築),フェーズ2(データ活用 スモールスタート),フェーズ3(データ活用 本格活用)という取り組みを地域金融機関と一体となり段階的に進めている.本稿で紹介する事例ではフェーズ2が完了した段階でデータ活用文化が根付き始めており,地域金融機関への価値提供に向けて有用な取り組みであると確信している.