ワークスタイル変革と情報システム
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2021年3月発行 Vol.40 No.4 通巻147号ワークスタイル変革と情報システム
日本ユニシスグループは,かねてより在宅勤務やサテライトオフィスの導入などのワークスタイル変革に取り組んできました。新型コロナウイルスへの対応によって,この1年間はそうした取り組みが想定を超えるスピードと規模感で私たち企業に広がっています。本特集号では,日本ユニシスグループがワークスタイル変革のために実践してきた情報システムの基盤強化活動の中から,クラウドストレージの導入と利用推進施策,文書管理ワークフローシステムの目標と評価視点アプローチ,ゼロトラストモデルを適用した社内セキュリティ基盤,ゼロトラストモデルの最新動向,利用型サービスの顧客適用に向けたナレッジ化について紹介しています。また,クラウド型ネットワークサービス“Wrap”の特徴と適用事例を紹介します。
Boxによる新しいワークスタイルの推進
日本ユニシスグループでは,多様な働き方を実現することを目的にBoxを導入した.その結果,PCへのローカル保存を禁止した状態でも,外出時のコンテンツアクセスが容易になり,社員は働く場所に依存せず業務を遂行できるようになった.それを達成するための利用率向上策として,サービス機能の理解,テナント設定の検討,利用ルール策定と周知徹底等を,導入前から進めてきた.また,導入後の利用定着化のため,経営層によるメッセージ発信,社内ポータルサイトの公開,研修による教育を行い,アンケートで社員の声を集めることで,更なる施策の検討に繋げた.これら活動により,Box利用率は導入4か月にして9割を超え,以降も高い利用率を維持している.
契約書照査業務の電子化と契約関連文書の保管
ワークスタイル変革を契機として紙での申請業務を電子化する企業は多い.申請業務の電子化とともに,これまで同じく紙で処理をしてきた申請書に付随する文書類もワークフローシステムの内部に電子媒体として保管される.一連の申請業務の処理内で申請書類を閲覧することは,一般的なワークフローシステムの機能として具備されている.一方,申請業務の処理に携わらない人々が顧客との契約履歴の確認や稟議や監査などを目的として,ワークフローシステムから申請に関する文書類を閲覧する場合,ワークフローシステムに具備されている機能の範囲では十分に目的を果たせないケースもある.日本ユニシスでは,ワークフローシステムと文書管理プラットフォームを組み合わせて,申請業務以外での文書類閲覧を実現させた.その実現にいたる目標と視点からのアプローチを紹介する.
ワークスタイル変革に不可欠なセキュリティ基盤
従来の境界防御型モデル(ペリメータモデル)では,多様化するサイバー攻撃の被害を抑えることが困難になってきており,新たな考え方として「ゼロトラスト」というモデルが生まれている.ゼロトラストは,あくまでもコンセプト(概念)であり,特定のソリューションや製品を指すものではない.「どうやってゼロトラスト・アーキテクチャを実現するか」は企業なりの解釈に依る.
日本ユニシスグループでは,このゼロトラストのモデルを五つの施策(「ID管理/ 認証」「デバイス管理」「クラウドProxy」「クラウドSIEM」「CASB」)に落とし込み,実装はクラウドサービスを利用する方針とした.クラウドサービスの利用においては,選定基準を定め,事前検証によりセキュリティ要件に対して,とりうる対策の実現性と効果を検証した.これらセキュリティ基盤の更改により,ネットワーク境界に設置されているネットワーク機器のログに加え,クラウドアプリケーションなどのセキュリティ監視対象が増加し,運用業務の負荷が増えると想定されたことから,運用体制の再整備を行っている.
SecuritySaaSの連携によるZTNA(Zero Trust Network Access)の実現
従来の企業ネットワークは,トラフィックを一度データセンターに集約させた後,用途に応じて適切な場所やデバイスに分散させる設計で運用されてきた.社会情勢の影響や利便性・効率化への追求に伴い,業務システム及び情報資源はクラウドへシフトする方向に進んでいる.クラウドシフトや業務多様性に対応したセキュリティ対策として,守るべき対象がさまざまな場所に点在しても防御できる「ゼロトラスト」に基づいたセキュリティ対策が求められる.ユニアデックス株式会社は,クラウドセキュリティ対策に必要な機能を,認証,検知・防御,可視化,分析と定義して,Uniadex CloudPasをリリースした.
社内システムのサービス展開とショーケース化
日本ユニシスの情報システムサービス部では,利用部門からの依頼により,業務処理改善,申請書電子化のワークフローを,RPAサービスやeWFサービスで設定・提供している.これらを利用型サービスと呼び,検討,基盤構築,改善という流れで社内に展開している.また,利用型サービスの社内展開とそれで得た知識を顧客に外販するために,提案時のサポートや顧客への紹介といった準備や支援を行っている.