2010年1月1日
SaaSプラットフォーム・サービス
SaaS型アプリケーションの提供に必要なインフラ環境や基本機能を提供し、SaaSビジネスのコスト低減、早期立ち上げを実現するサービス。
Interview

橋本 和昭
日本ユニシス株式会社
ICTサービス本部
サービス商品企画部
サービス企画グループ
マネージャ
日本ユニシス株式会社
ICTサービス本部
サービス商品企画部
サービス企画グループ
マネージャ

盛田 豊
日本ユニシス株式会社
ICTサービス基盤開発部
ICTシステム基盤開発室
グループマネージャ
日本ユニシス株式会社
ICTサービス基盤開発部
ICTシステム基盤開発室
グループマネージャ
Page index
本事例に掲載された情報は、取材時点のものであり、変更されている可能性があります。
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システムは「所有する」から「利用する」時代へ
Web技術の進化とネットワークの高速化により、システムは自社で「保有する」時代から、ネットワーク経由で「利用する」時代へとシフトしつつある。従来は、パッケージ導入やスクラッチ開発によって、自社内にシステムを構築して運用する体制が一般的だったが、SaaS(Software as a Service)の普及により、システムをサービスとして利用する企業が急速に増加しているのだ。
SaaSは短期間での導入が可能で、月額料金で利用できることから、コスト面でもメリットが高い。また、自社でシステムを導入すると、管理、メンテナンス、セキュリティ対策なども自前で行わなければならないが、SaaSならシステム運用もアウトソースされるため、管理の手間からも解放される。つまり、SaaSを利用することで自社の規模や成長に合わせたフレキシブルなシステムの構築・運用が可能となるわけだ。
日本ユニシスでは、SaaS事業にいち早く取り組み、ICTホスティングやSaaSアプリケーションなどのサービスを提供してきた。
SaaSは短期間での導入が可能で、月額料金で利用できることから、コスト面でもメリットが高い。また、自社でシステムを導入すると、管理、メンテナンス、セキュリティ対策なども自前で行わなければならないが、SaaSならシステム運用もアウトソースされるため、管理の手間からも解放される。つまり、SaaSを利用することで自社の規模や成長に合わせたフレキシブルなシステムの構築・運用が可能となるわけだ。
日本ユニシスでは、SaaS事業にいち早く取り組み、ICTホスティングやSaaSアプリケーションなどのサービスを提供してきた。

橋本 和昭
日本ユニシス株式会社
ICTサービス本部
サービス商品企画部
サービス企画グループ
マネージャ
日本ユニシス株式会社
ICTサービス本部
サービス商品企画部
サービス企画グループ
マネージャ
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SaaS事業の立ち上げを支援する「SaaSプラットフォーム・サービス」
SaaSが普及し、市場が形成される中で、SaaS型サービスの提供に転換を図るパッケージベンダーや、自社のアプリケーションを活用してSaaS市場に参入を図る事業者も増えている。
しかし、従来のパッケージベンダーやソフトウェア事業者は、インフラの構築技術や運用のノウハウを持ち合わせていないことが多い。SaaS事業を始めようとすると、機器調達から、インフラの構築、運用体制の整備、セキュリティ対策まですべて自社で賄わなければならず、高い参入障壁が存在することは確かだ。
そこで、日本ユニシスは新たにSaaS市場へ参入を図りたい事業者向けに、「SaaSプラットフォーム・サービス」の提供を2009年5月より開始している。SaaS事業を始めるために必要なネットワーク環境や基本機能を用意しているため、インフラやネットワーク技術を持たない事業者でも、短期間かつ低コストでSaaSビジネスに参入することができるのだ。
しかし、従来のパッケージベンダーやソフトウェア事業者は、インフラの構築技術や運用のノウハウを持ち合わせていないことが多い。SaaS事業を始めようとすると、機器調達から、インフラの構築、運用体制の整備、セキュリティ対策まですべて自社で賄わなければならず、高い参入障壁が存在することは確かだ。
そこで、日本ユニシスは新たにSaaS市場へ参入を図りたい事業者向けに、「SaaSプラットフォーム・サービス」の提供を2009年5月より開始している。SaaS事業を始めるために必要なネットワーク環境や基本機能を用意しているため、インフラやネットワーク技術を持たない事業者でも、短期間かつ低コストでSaaSビジネスに参入することができるのだ。
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SaaS事業を始めるために必要なネットワーク環境や基本機能を提供
日本ユニシスの「SaaSプラットフォーム・サービス」では、ネットワークを強化するための「サービスインフラ」と、SaaSアプリケーションの管理・制御に必要な「基本機能」の2つを提供している。
「サービスインフラ」では、リバースプロキシ、ウイルスチェック、DNS、SSLなどのネットワーク機能を提供。利用者は、インターネットとアプリケーションサーバー群の間に、ネットワークの安全性を確保するためのDMZ(非武装地帯)を設置する手間から解放され、短期間でのインフラ立ち上げと、運用負荷の軽減が実現する。
「基本機能」では、SaaSアプリケーションを利用するために必要なポータル画面、ユーザー情報の一元管理、メンテナンス、アクセス管理などの機能が提供される。そのため、利用者は導入するだけでSaaS事業が始められるというわけだ。
日本ユニシス ICTサービス本部 サービス商品企画部 サービス企画グループ マネージャ 橋本和昭氏は、SaaSプラットフォーム・サービスの狙いを以下のように語る。
「SaaS化に必要な機能・環境を日本ユニシスが提供することで、事業者様にビジネスモデルの構築やビジネスロジックの開発に専念していただくことが目的です。サービスメニューとしては、サービスインフラを提供する『ライトパック』、『ライトパック』にアプリケーションの管理・制御機能を追加した『ライトパックプラス』、『ライトパックプラス』にユーザーの管理・制御機能を追加した『ベーシックパック』を用意しています。また料金体系も複数用意していますので、ニーズに合わせてお選びいただくことが可能です」
「サービスインフラ」では、リバースプロキシ、ウイルスチェック、DNS、SSLなどのネットワーク機能を提供。利用者は、インターネットとアプリケーションサーバー群の間に、ネットワークの安全性を確保するためのDMZ(非武装地帯)を設置する手間から解放され、短期間でのインフラ立ち上げと、運用負荷の軽減が実現する。
「基本機能」では、SaaSアプリケーションを利用するために必要なポータル画面、ユーザー情報の一元管理、メンテナンス、アクセス管理などの機能が提供される。そのため、利用者は導入するだけでSaaS事業が始められるというわけだ。
日本ユニシス ICTサービス本部 サービス商品企画部 サービス企画グループ マネージャ 橋本和昭氏は、SaaSプラットフォーム・サービスの狙いを以下のように語る。
「SaaS化に必要な機能・環境を日本ユニシスが提供することで、事業者様にビジネスモデルの構築やビジネスロジックの開発に専念していただくことが目的です。サービスメニューとしては、サービスインフラを提供する『ライトパック』、『ライトパック』にアプリケーションの管理・制御機能を追加した『ライトパックプラス』、『ライトパックプラス』にユーザーの管理・制御機能を追加した『ベーシックパック』を用意しています。また料金体系も複数用意していますので、ニーズに合わせてお選びいただくことが可能です」
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標準化された利用技術や知財・ノウハウを活用
「SaaSプラットフォーム・サービス」の開発では品質を担保しながら短期間での開発が求められた。
そこで、日本ユニシスは、同社のオープン系システム基盤である「AtlasBase(アトラスベース)」を活用。短期間でのサービス構築をめざした。
「AtlasBase」は、オープン系のシステム開発に必要な、アプリケーションフレームワーク、開発標準、インフラ層の知財などを統合した日本ユニシスのシステム基盤だ。「システム共通機能領域」と「インフラストラクチャ領域」から構成され、それぞれの領域でプロダクトと開発標準が提供されているため、システム開発の品質が向上し、迅速で確実な開発が実現する。
「SaaSプラットフォーム・サービス」の開発でAtlasBaseを活用した理由を、日本ユニシス ICTサービス基盤開発部 ICTシステム基盤開発室 グループマネージャ 盛田豊氏は次のように語る。
そこで、日本ユニシスは、同社のオープン系システム基盤である「AtlasBase(アトラスベース)」を活用。短期間でのサービス構築をめざした。
「AtlasBase」は、オープン系のシステム開発に必要な、アプリケーションフレームワーク、開発標準、インフラ層の知財などを統合した日本ユニシスのシステム基盤だ。「システム共通機能領域」と「インフラストラクチャ領域」から構成され、それぞれの領域でプロダクトと開発標準が提供されているため、システム開発の品質が向上し、迅速で確実な開発が実現する。
「SaaSプラットフォーム・サービス」の開発でAtlasBaseを活用した理由を、日本ユニシス ICTサービス基盤開発部 ICTシステム基盤開発室 グループマネージャ 盛田豊氏は次のように語る。

盛田 豊
日本ユニシス株式会社
ICTサービス基盤開発部
ICTシステム基盤開発室
グループマネージャ
日本ユニシス株式会社
ICTサービス基盤開発部
ICTシステム基盤開発室
グループマネージャ
「ソフトウェアやインフラのアーキテクチャが日々進化していく中で、新しい開発技術を検証することなく採用することは、高いリスクを伴います。個々の技術や製品が単独で完成されていても、システムとして全体を組み合わせた時に、さまざまな制約や機能不足が生じ、重大なトラブルを引き起こす可能性があるからです。しかも、それらのトラブルはシステムが完成するころに一気に噴出してきます。その点、AtlasBaseはこれまでのオープン系システム開発で蓄積されてきた技術の組み合わせで構成され、知財化されているノウハウが活用できるので、開発が迅速で確実に進むと考えました。
また、当社が手がけた多くのシステム開発で実績を残していることもあり、効率的で精度の高い開発が進められることが期待できます。
さらに、今回のプロジェクトには、AtlasBaseのインフラ開発で中心的な役割を果たしたメンバーや、過去にMaia®における開発経験を持つメンバーが参画しているため、アーキテクチャの設計、技術検証、利用技術の知財化などに関する高いノウハウが活用できることも、AtlasBaseの採用を後押ししました」
また、当社が手がけた多くのシステム開発で実績を残していることもあり、効率的で精度の高い開発が進められることが期待できます。
さらに、今回のプロジェクトには、AtlasBaseのインフラ開発で中心的な役割を果たしたメンバーや、過去にMaia®における開発経験を持つメンバーが参画しているため、アーキテクチャの設計、技術検証、利用技術の知財化などに関する高いノウハウが活用できることも、AtlasBaseの採用を後押ししました」
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開発フレームワークが短期集中開発をサポート
「基本機能」の開発では、OSSベースの中小規模向けJavaアプリケーション開発標準である「MIDMOST® for Java EE/ Maia(マイア)」を適用。インフラ開発では、SaaSプラットフォーム・サービスの要求仕様に応じてLinux基盤の検証済みプロダクトセットおよび開発支援ドキュメントを活用した。
開発フレームワークのMaiaについて、盛田氏は次のように評価する。
「特定の業務機能を提供する一般的なシステムと異なり、お客さま向けのサービスを実現する今回のプロジェクトでは、開発途中でサービスや機能が変化していくことに加え、短期間でのサービス開始が要求されます。そのため、メンバー全員が決められた枠組みの中で開発が進められるフレームワークは必須でした。開発設計プロセスや利用する技術を統一することで、余計な開発に手間を取られなくなり、その結果、実現すべきサービスや機能の開発に専念することができます。
実際に使ってみると、Maiaは使い勝手に優れたフレームワークであることが実感でき、開発チームのメンバーも高く評価しています。その理由は、数多くのビジネスシステム開発の中で得られた知見をもとに、ルールで縛るべき部分と自由度を持たせる部分を持ち、また堅牢なシステムの開発で必要な共通機能が、バランスよく提供されているからでしょう。
さらに、システムが動作するための共通機能や開発方法などの技術的な方針以外にも、開発環境構築の標準化や、当社の品質管理プロセスとの連携機能など、単なるツールの統一ではなく、実プロジェクトでは見えないコストとして膨らみがちな部分の効率化や、品質の管理・トレースなど、システム開発全体を支援する機能やルールにおいても整備が進んでいることは、今後のプロジェクトにとって大きなメリットになると思います」
インフラ開発は、AtlasBaseの検証済みプロダクトセットおよび開発支援ドキュメント(テンプレート&ガイド)をフルに活用し、迅速かつ確実に進めた。検証済みプロダクトの構成がそのまま適用できない場合でも、アーキテクチャを大きく変更することなく、それらの考え方を発展させながら構築している。
「要件定義から本番稼動までに必要なドキュメントを整備している開発支援ドキュメントをベースとすることで、技術的なブレや抜け・漏れが軽減され、システム構築時に発生するさまざまリスクを未然に防止することができます」(盛田氏)
開発フレームワークのMaiaについて、盛田氏は次のように評価する。
「特定の業務機能を提供する一般的なシステムと異なり、お客さま向けのサービスを実現する今回のプロジェクトでは、開発途中でサービスや機能が変化していくことに加え、短期間でのサービス開始が要求されます。そのため、メンバー全員が決められた枠組みの中で開発が進められるフレームワークは必須でした。開発設計プロセスや利用する技術を統一することで、余計な開発に手間を取られなくなり、その結果、実現すべきサービスや機能の開発に専念することができます。
実際に使ってみると、Maiaは使い勝手に優れたフレームワークであることが実感でき、開発チームのメンバーも高く評価しています。その理由は、数多くのビジネスシステム開発の中で得られた知見をもとに、ルールで縛るべき部分と自由度を持たせる部分を持ち、また堅牢なシステムの開発で必要な共通機能が、バランスよく提供されているからでしょう。
さらに、システムが動作するための共通機能や開発方法などの技術的な方針以外にも、開発環境構築の標準化や、当社の品質管理プロセスとの連携機能など、単なるツールの統一ではなく、実プロジェクトでは見えないコストとして膨らみがちな部分の効率化や、品質の管理・トレースなど、システム開発全体を支援する機能やルールにおいても整備が進んでいることは、今後のプロジェクトにとって大きなメリットになると思います」
インフラ開発は、AtlasBaseの検証済みプロダクトセットおよび開発支援ドキュメント(テンプレート&ガイド)をフルに活用し、迅速かつ確実に進めた。検証済みプロダクトの構成がそのまま適用できない場合でも、アーキテクチャを大きく変更することなく、それらの考え方を発展させながら構築している。
「要件定義から本番稼動までに必要なドキュメントを整備している開発支援ドキュメントをベースとすることで、技術的なブレや抜け・漏れが軽減され、システム構築時に発生するさまざまリスクを未然に防止することができます」(盛田氏)
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統一化されたルールを適用し分散拠点における開発リスクを回避
SaaSプラットフォーム・サービスの開発は、インフラ機能を提供する「ライトパック」のプロジェクト(R1)が先行する形で2009年1月からスタートし、同年5月にリリースされた。
続いて、SaaS化に必要なアプリーション(基本機能)を追加した「ベーシックパック」の開発(R2)が2009年5月より本格化した。
R2のメンバーは、インフラ開発・運用チームが10名、アプリケーション開発チームが25名、アーキテクチャ・ビジネス設計チームが5名の総勢40名を一気に立ち上げ、2009年10月のカットオーバーに向けて臨んだ。
「開発拠点は、本社(東京)、札幌テクノセンター、協力会社オフィス、と複数の個所に分散していました。プロジェクトは、ニーズにあわせてビジネス要件を修正・変更しながら短期間に開発を進めていく必要があります。その中で、開発拠点の分散は大きな支障になりかねません。しかし、AtlasBaseの統一化されたルールのもと、メンバー全員が共通の言語を使ってコミュニケーションを図ることができたことは、分散拠点における開発リスクを回避するだけの成果につながっています」(盛田氏)
続いて、SaaS化に必要なアプリーション(基本機能)を追加した「ベーシックパック」の開発(R2)が2009年5月より本格化した。
R2のメンバーは、インフラ開発・運用チームが10名、アプリケーション開発チームが25名、アーキテクチャ・ビジネス設計チームが5名の総勢40名を一気に立ち上げ、2009年10月のカットオーバーに向けて臨んだ。
「開発拠点は、本社(東京)、札幌テクノセンター、協力会社オフィス、と複数の個所に分散していました。プロジェクトは、ニーズにあわせてビジネス要件を修正・変更しながら短期間に開発を進めていく必要があります。その中で、開発拠点の分散は大きな支障になりかねません。しかし、AtlasBaseの統一化されたルールのもと、メンバー全員が共通の言語を使ってコミュニケーションを図ることができたことは、分散拠点における開発リスクを回避するだけの成果につながっています」(盛田氏)

盛田 豊
日本ユニシス株式会社
ICTサービス基盤開発部
ICTシステム基盤開発室
グループマネージャ
日本ユニシス株式会社
ICTサービス基盤開発部
ICTシステム基盤開発室
グループマネージャ
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豊富に蓄積されたAtlasBaseの技術と知財がインフラとアプリケーションの連携を強化
SaaSプラットフォーム・サービスは、インフラとアプリケーションが密接に結びついたサービスだけに、開発段階でも連携を重視する必要があった。個々のサーバーやプロダクトが十分な品質を保っていたとしても、組み合わせた瞬間にトラブルに見舞われるケースも珍しくない。その点、AtlasBaseはアプリケーションとインフラを組み合わせた状態で検証され、利用技術を蓄積してきたシステム基盤だけに、連携のノウハウが多く詰まっている。そのため、インフラとアプリケーションの連携においても作業の抜けや漏れが発生しにくかったという。また、「アプリケーション側からインフラの挙動を制御するといったことにもトライし、技術検証を繰り返しながら新たなノウハウを蓄積することができました」と盛田氏は振り返る。
開発チームが複数拠点に分散しているプロジェクト体制では、共通のルールが整っていたとしても、インフラとアプリケーションの連携における細かな調整で支障が生ずるリスクが残る。しかし、インフラとアプリケーションが密接に関係していることを考慮し、日本ユニシス内の開発拠点(東京、札幌)それぞれにインフラ開発とアプリケーション開発の両メンバーを配置することで、機能連携をタイムリーに反映させ、アーキテクチャの大枠部分で齟齬が生じることなく、各拠点横並びで開発を進めることに成功した。
Javaアプリケーション開発標準「Maia」の適用については、プロジェクトの開始前に、協力会社を含むアプリケーションエンジニアが集まり、開発経験者が講習会を実施することで、統一基盤で開発に取り組む体制を整えた。
「Maiaの中で使われている個々の技術そのものは標準的な技術をベースとしているため、初めてMaiaを適用する技術者でもスムーズに習得できます。開発がスタートしてからも、アプリケーションの機能変更は何度も発生していますが、一定のルールが確立されているMaiaなら、混乱することもありません。開発のアーキテクチャを変更することなく、ビジネスロジックの構築に専念できたことは、大きなアドバンテージとなりました」(盛田氏)
開発チームが複数拠点に分散しているプロジェクト体制では、共通のルールが整っていたとしても、インフラとアプリケーションの連携における細かな調整で支障が生ずるリスクが残る。しかし、インフラとアプリケーションが密接に関係していることを考慮し、日本ユニシス内の開発拠点(東京、札幌)それぞれにインフラ開発とアプリケーション開発の両メンバーを配置することで、機能連携をタイムリーに反映させ、アーキテクチャの大枠部分で齟齬が生じることなく、各拠点横並びで開発を進めることに成功した。
Javaアプリケーション開発標準「Maia」の適用については、プロジェクトの開始前に、協力会社を含むアプリケーションエンジニアが集まり、開発経験者が講習会を実施することで、統一基盤で開発に取り組む体制を整えた。
「Maiaの中で使われている個々の技術そのものは標準的な技術をベースとしているため、初めてMaiaを適用する技術者でもスムーズに習得できます。開発がスタートしてからも、アプリケーションの機能変更は何度も発生していますが、一定のルールが確立されているMaiaなら、混乱することもありません。開発のアーキテクチャを変更することなく、ビジネスロジックの構築に専念できたことは、大きなアドバンテージとなりました」(盛田氏)
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開発の成果をAtlasBaseにフィードバック
AtlasBaseは、オープン系システム開発における日本ユニシスグループの標準だ。日本ユニシスでは、プロジェクトで適用した新しいノウハウや技術をフィードバックし、AtlasBaseをさらに発展・進化させることで、より高品質なシステム開発の提供を目指している。
「アプリケーションの開発に用いたJavaアプリケーション開発標準Maiaは、純粋に利用者としての立場でしたので、AtlasBaseの知財整備・拡充と適用を支援する社内組織(AtlasBaseコンピテンスセンター)に成果をフィードバックしていきます。インフラ開発に関しては、AtlasBaseのインフラ環境を整備してきたメンバーが担当したこともあり、私たちがAtlasBaseのインフラ技術を高める役割を担っていました。そこで、今回のインフラ開発で実行した新しいチャレンジの成果を、AtlasBaseの発展に向けて反映させてまいります」(盛田氏)
「アプリケーションの開発に用いたJavaアプリケーション開発標準Maiaは、純粋に利用者としての立場でしたので、AtlasBaseの知財整備・拡充と適用を支援する社内組織(AtlasBaseコンピテンスセンター)に成果をフィードバックしていきます。インフラ開発に関しては、AtlasBaseのインフラ環境を整備してきたメンバーが担当したこともあり、私たちがAtlasBaseのインフラ技術を高める役割を担っていました。そこで、今回のインフラ開発で実行した新しいチャレンジの成果を、AtlasBaseの発展に向けて反映させてまいります」(盛田氏)
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日揮情報システム様が設備保全管理システムをSaaS化
「SaaSプラットフォーム・サービス」の提供が開始されて数カ月経ち(取材時)、外部の事業者および日本ユニシス内部から、数十件を越す引き合いが寄せられている。
その中で、日揮情報システム様が、SaaSプラットフォーム・サービスを採用。工場向けの設備保全管理システムを、従来のパッケージ版からSaaS型サービスに移行し、自社サービスとしての提供を本格化している。
その中で、日揮情報システム様が、SaaSプラットフォーム・サービスを採用。工場向けの設備保全管理システムを、従来のパッケージ版からSaaS型サービスに移行し、自社サービスとしての提供を本格化している。

橋本 和昭
日本ユニシス株式会社
ICTサービス本部
サービス商品企画部
サービス企画グループ
マネージャ
日本ユニシス株式会社
ICTサービス本部
サービス商品企画部
サービス企画グループ
マネージャ
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適用範囲の拡大をアピール
SaaSプラットフォーム・サービスの展望としては、各種機能を充実させお客様から高いニーズが寄せられているシステム連携やモバイル連携を強化していく考えだ。
また、サービスインフラ、基本機能のどちらも、SaaS以外のサービスに活用できるだけの柔軟性を備えているため、適用範囲の拡大を図っていくという。
「SaaSプラットフォーム・サービスの利用対象は、SaaSの事業化を検討されているお客さまだけに留まりません。純粋にWebアプリケーションを利用したいお客さま、SI事業を展開したいお客さまにもご利用いただくことが可能です。また、SaaS型サービスの本格導入以外での活用も可能であり、実際、「遠隔地でのパッケージ製品のデモにSaaSを利用したい」「メディア送付のセキュリティリスクをSaaSで回避したい」といった用途での問い合わせも多く寄せられています。当社はSIerとして多くの情報会社様とも幅広いおつきあいがありますので、企業内部向けのサービス基盤、開発基盤などにSaaSプラットフォーム・サービスが活用できることを積極的に提案してまいります」(橋本氏)
また、サービスインフラ、基本機能のどちらも、SaaS以外のサービスに活用できるだけの柔軟性を備えているため、適用範囲の拡大を図っていくという。
「SaaSプラットフォーム・サービスの利用対象は、SaaSの事業化を検討されているお客さまだけに留まりません。純粋にWebアプリケーションを利用したいお客さま、SI事業を展開したいお客さまにもご利用いただくことが可能です。また、SaaS型サービスの本格導入以外での活用も可能であり、実際、「遠隔地でのパッケージ製品のデモにSaaSを利用したい」「メディア送付のセキュリティリスクをSaaSで回避したい」といった用途での問い合わせも多く寄せられています。当社はSIerとして多くの情報会社様とも幅広いおつきあいがありますので、企業内部向けのサービス基盤、開発基盤などにSaaSプラットフォーム・サービスが活用できることを積極的に提案してまいります」(橋本氏)
SaaSプラットフォーム・サービスの開発はシステム開発で蓄積してきた、技術と知財・ノウハウが活用できる日本ユニシスのオープン系システム基盤「AtlasBase」を活用し、品質を担保しながら短期間での開発を実現した。
開発のポイントは以下の通り。
開発のポイントは以下の通り。
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ソフトウェアやインフラのアーキテクチャが日々進化していく中で、新しい開発技術を検証することなく採用することは、高いリスクを伴う。そこで、これまでのオープン系システム開発で蓄積してきた技術、知財・ノウハウが活用できるAtlasBaseを活用し、効率的で精度の高い開発を実現した。
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開発途中で業務仕様が変化するプロジェクトでは、開発設計プロセスの統一が欠かせない。Javaアプリケーション開発標準「Maia」を用いることで、仕様の変化にも柔軟に対応し、ビジネスロジックに特化した開発に専念することができた。
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インフラ開発ではAtlasBaseの開発支援ドキュメントを用いることで、技術的なブレや抜け・漏れを防止し、開発途中で発生するさまざまなリスクを回避した。
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アプリケーションとインフラを組み合わせた状態で検証されているAtlasBaseは、インフラとアプリケーションとの連携強化を支援することが可能だ。
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標準的な技術をベースとするJavaアプリケーション開発標準「Maia」は、初めて開発に携わるエンジニアでも習得しやすい。
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今後は開発成果をAtlasBaseにフィードバックし、より使いやすいシステム基盤へと発展・進化させていく。
システムイメージ図

*AtlasBase、MIDMOST、Maiaは、日本ユニシス株式会社の登録商標です。
*Javaは、Oracle Corporation及びその子会社、関連会社の米国及びその他の国における登録商標または商標です。
*その他記載の会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。