2009年9月1日
株式会社 三菱東京UFJ銀行様
決済システムをJavaでオープン化し、IT投資の大幅な削減とサービス強化を実現
〜日本ユニシスのJavaアプリケーションフレームワークLWFの採用により、高い生産性と品質を確保〜
〜日本ユニシスのJavaアプリケーションフレームワークLWFの採用により、高い生産性と品質を確保〜
Interview

桶田 孝則氏
三菱東京UFJ銀行
システム部
市場証券グループ
日銀決済チーム
上席調査役
三菱東京UFJ銀行
システム部
市場証券グループ
日銀決済チーム
上席調査役

山口 博資氏
三菱東京UFJ銀行
システム部
市場証券グループ
日銀決済チーム
調査役
三菱東京UFJ銀行
システム部
市場証券グループ
日銀決済チーム
調査役
Page Index
-
設立:1919年8月25日
-
本社所在地:東京都千代田区丸の内2-7-1
-
事業内容:金融業およびその他付帯業務
本事例に掲載された情報は、取材時点のものであり、変更されている可能性があります。なお、事例の掲載内容はお客さまにご了解いただいておりますが、システムの機密事項に言及するような内容については、当社では、ご質問をお受けできませんのでご了解ください。
-
日本銀行RTGSシステムを日本ユニシスと共同開発
三菱東京UFJ銀行様は、日本銀行RTGSシステムを、2006年10月から2008年10月までの約25カ月に渡り、日本ユニシスと共同で開発した。システムインテグレーションは三菱東京UFJ銀行様のシステム部が中心に担当し、日本ユニシスは主にシステム開発を請け負った。アプリケーション開発には日本ユニシスグループが提供するJavaアプリケーション開発フレームワーク MIDMOST® for Java EEシリーズ「LWF」(LUCINA Web Foundation)を採用。ミッションクリティカルな金融システムの構築において、高い生産性と高品質を実現した。
-
日本銀行主導による「次世代RTGS」への制度対応と既存システムのパフォーマンス向上をめざす
開発の背景には、日本銀行が2006年に構想を明らかにした「次世代RTGS」への対応があった。
「RTGS」とは「即時グロス決済」を表す「Real Time Gross Settlement」の略で、日本銀行における金融機関同士の口座振替を行う手法のひとつ。金融機関が日本銀行金融ネットワーク上で資金や債券を取引きする際、日本銀行に送った振替指示を1件ずつ即時に決済する仕組みだ。金融機関はRTGSで決済するたびに多額の資金を必要とするが、銀行の倒産や決済のトラブルによって金融機関が連鎖的に機能不全に陥る「システミック・リスク」を軽減することができる。日本銀行では、2001年1月に従来の「時点ネット決済」(1日の特定時間まで振替を蓄積しておき差額をまとめて決済する方式)を廃止し、RTGSに全面移行した。
「RTGS」とは「即時グロス決済」を表す「Real Time Gross Settlement」の略で、日本銀行における金融機関同士の口座振替を行う手法のひとつ。金融機関が日本銀行金融ネットワーク上で資金や債券を取引きする際、日本銀行に送った振替指示を1件ずつ即時に決済する仕組みだ。金融機関はRTGSで決済するたびに多額の資金を必要とするが、銀行の倒産や決済のトラブルによって金融機関が連鎖的に機能不全に陥る「システミック・リスク」を軽減することができる。日本銀行では、2001年1月に従来の「時点ネット決済」(1日の特定時間まで振替を蓄積しておき差額をまとめて決済する方式)を廃止し、RTGSに全面移行した。

次世代RTGSは、従来のRTGSのネックであった資金調達のための担保削減(流動性節約機能)や、それまで実現していなかった外為円取引決済のRTGS化などをめざすもので、日本銀行は2008年10月から第1期対応の稼働開始をアナウンスした。
三菱東京UFJ銀行様も次世代RTGSへの対応を急ぐことになったが、2006年当時は旧東京三菱銀行と旧UFJ銀行が合併して三菱東京UFJ銀行が誕生したばかり。メガバンクの合併によって決済量が一気に増えた結果、既存のRTGSシステムは性能的にも機能的にも限界を迎えることになった。次世代RTGSシステム開発の統括マネジメントを担当した三菱東京UFJ銀行システム部市場証券グループ日銀決済チーム上席調査役である同氏は「合併後、新たなRTGS制度に対応するうえで、既存システムをエンハンスするだけでは無理があります。そこで、既存機能の継続も含めてRTGSシステムを全面刷新することが最も現実的と判断しました」と当時の状況を振り返る。
従来のRTGSシステムはメインフレームで構築していたが、新システムではオープン系を採用し、Java EEによる構築をめざした。オープン系システムへの移行は当時の全行的な潮流であり、「勘定系、決済系のミッションクリティカルな業務においてオープン化は時代の流れでした」と同氏は話す。
開発における最大のポイントは、スケジュールの遅延が許されないことだった。日本銀行によって2008年10月から次世代RTGS制度が始まることは決定済みだ。本番半年前の3月から各金融機関と日本銀行が共同でオンライン接続試験及び総合運転試験を実施することが決まっていたため、開発の実質的なデッドリミットは2008年3月。
そこで三菱東京UFJ銀行様は、RTGSシステムを全面刷新するにあたり、どのような手法で開発するのか、ベンダーはどこを採用するのかといったことから検討を始めることになる。
三菱東京UFJ銀行様も次世代RTGSへの対応を急ぐことになったが、2006年当時は旧東京三菱銀行と旧UFJ銀行が合併して三菱東京UFJ銀行が誕生したばかり。メガバンクの合併によって決済量が一気に増えた結果、既存のRTGSシステムは性能的にも機能的にも限界を迎えることになった。次世代RTGSシステム開発の統括マネジメントを担当した三菱東京UFJ銀行システム部市場証券グループ日銀決済チーム上席調査役である同氏は「合併後、新たなRTGS制度に対応するうえで、既存システムをエンハンスするだけでは無理があります。そこで、既存機能の継続も含めてRTGSシステムを全面刷新することが最も現実的と判断しました」と当時の状況を振り返る。
従来のRTGSシステムはメインフレームで構築していたが、新システムではオープン系を採用し、Java EEによる構築をめざした。オープン系システムへの移行は当時の全行的な潮流であり、「勘定系、決済系のミッションクリティカルな業務においてオープン化は時代の流れでした」と同氏は話す。
開発における最大のポイントは、スケジュールの遅延が許されないことだった。日本銀行によって2008年10月から次世代RTGS制度が始まることは決定済みだ。本番半年前の3月から各金融機関と日本銀行が共同でオンライン接続試験及び総合運転試験を実施することが決まっていたため、開発の実質的なデッドリミットは2008年3月。
そこで三菱東京UFJ銀行様は、RTGSシステムを全面刷新するにあたり、どのような手法で開発するのか、ベンダーはどこを採用するのかといったことから検討を始めることになる。
-
RTGSシステムの構築実績とLWFを使った金融システムの開発実績が採用の決め手
三菱東京UFJ銀行様は、Java EEによる新しいRTGSシステムの開発パートナーを探すにあたり、複数のベンダーをピックアップ。最終段階で2社に絞りこみ、その中で日本ユニシスから提案を受けた「LWF」による開発を選択した。採用の決め手は、日本ユニシスの高い実績と信頼性にあったという。
「旧RTGSシステムの開発も日本ユニシスに依頼していたため、当行の業務要件に詳しいエンジニアが多く、再構築にあたり大きなアドバンテージになると考えました」(三菱東京UFJ銀行様)
また、2004年前後に三菱東京UFJ銀行様のシステム部が主幹となった他システムの開発プロジェクトにも日本ユニシスがベンダーとして参加し、LWFを用いて開発していたことも採用を後押しする要因になった。
「日本銀行による次世代RTGSの稼働に間に合わせるという最終期限が決まっているだけに、遅延は絶対に許されません。その中で、業務知識やノウハウを豊富に持ち、LWFによる開発実績を残していることが採用の決め手になりました」(三菱東京UFJ銀行様)
「旧RTGSシステムの開発も日本ユニシスに依頼していたため、当行の業務要件に詳しいエンジニアが多く、再構築にあたり大きなアドバンテージになると考えました」(三菱東京UFJ銀行様)
また、2004年前後に三菱東京UFJ銀行様のシステム部が主幹となった他システムの開発プロジェクトにも日本ユニシスがベンダーとして参加し、LWFを用いて開発していたことも採用を後押しする要因になった。
「日本銀行による次世代RTGSの稼働に間に合わせるという最終期限が決まっているだけに、遅延は絶対に許されません。その中で、業務知識やノウハウを豊富に持ち、LWFによる開発実績を残していることが採用の決め手になりました」(三菱東京UFJ銀行様)

-
1000人〜3000人超の大規模案件にも採用が進むLWF
LWFは、日本ユニシスが提供するJava EEベースの商用アプリケーションフレームワークだ。ミッションクリティカルな大規模システム開発にも適用可能なフレームワークで、開発ガイド、実行基盤、設計書式や標準テンプレート、開発支援ツールなどを提供することにより、開発工程の効率化や可視化を実現。スキルにばらつきがある開発メンバーでも意思の疎通がスムーズに図れるようになり、システム開発の生産性やアプリケーションの品質が向上する。日本ユニシスが2002年にLWFの提供を始めて以来、300人〜1000人月を超すシステム開発で多く適用され、近年は1000人〜3000人月超の大規模案件にも採用が進んでいる。
LWFは標準でオラクルのミドルウェア「Oracle® WebLogic Server」上で稼働するフレームワークだが、今回の開発では、これまで対応のなかった「Cosminexus®」上での稼働を目指すことになった。同様に、OSは対応実績の多いLinuxではなくUNIX系のAIX®を使用することになった。
基盤は技術的リスクの高い開発であったが、課題を一つひとつ確実に解決し、スケジュールどおりシステム構築することができた。日本ユニシス SW&サービス本部 金融第二統括P システム3P 海老澤重は「LWFで実績のないCosminexusやAIXを採用することに多少の不安はありました。しかし、三菱東京UFJ銀行様のシステム部基盤第二グループビジネスフロント基盤チーム(以下、システム部基盤第二グループ)と密接に連携することで問題点も速やかにクリアにすることができました」と話す。
LWFは標準でオラクルのミドルウェア「Oracle® WebLogic Server」上で稼働するフレームワークだが、今回の開発では、これまで対応のなかった「Cosminexus®」上での稼働を目指すことになった。同様に、OSは対応実績の多いLinuxではなくUNIX系のAIX®を使用することになった。
基盤は技術的リスクの高い開発であったが、課題を一つひとつ確実に解決し、スケジュールどおりシステム構築することができた。日本ユニシス SW&サービス本部 金融第二統括P システム3P 海老澤重は「LWFで実績のないCosminexusやAIXを採用することに多少の不安はありました。しかし、三菱東京UFJ銀行様のシステム部基盤第二グループビジネスフロント基盤チーム(以下、システム部基盤第二グループ)と密接に連携することで問題点も速やかにクリアにすることができました」と話す。
-
パフォーマンスの向上と旧システムの機能を完全移植
プロジェクトの正式なスタートは、2006年10月。三菱東京UFJ銀行様との要件定義を経て、設計工程は2007年6月までに終了。製造工程に移行し、8月末にはひと通りのコーディング作業を終えた。以後、9月から12月末までが結合テスト、2008年1月から3月末まではシステム接続テストを実施して改善を重ねる。4月からは日本銀行が主催する総合テストに参加し、2008年10月に正式なリリースを迎えることになる。総工数は約3000人月、期間は約25ヵ月となった。
「開発で注意した点は、旧システムの機能移植です。新システムでは、パフォーマンスを向上させるだけに留まらず、制度対応としての新規機能の開発に加え、ホスト系旧システムで実現できていた機能の開発が要件として必須でした。開発途中ではシステムの動作が微妙に変わってしまったり、以前はできていたことができなくなってしまったりしたこともありました。日本ユニシスさんには私たちの改善要求に対して誠実に対応していただき、最終的に従来と変わりないシステムが構築できたと思います」と開発リーダーを勤めた三菱東京UFJ銀行システム部市場証券グループ日銀決済チーム調査役である同氏は開発の成果に満足している。
「開発で注意した点は、旧システムの機能移植です。新システムでは、パフォーマンスを向上させるだけに留まらず、制度対応としての新規機能の開発に加え、ホスト系旧システムで実現できていた機能の開発が要件として必須でした。開発途中ではシステムの動作が微妙に変わってしまったり、以前はできていたことができなくなってしまったりしたこともありました。日本ユニシスさんには私たちの改善要求に対して誠実に対応していただき、最終的に従来と変わりないシステムが構築できたと思います」と開発リーダーを勤めた三菱東京UFJ銀行システム部市場証券グループ日銀決済チーム調査役である同氏は開発の成果に満足している。

-
日本ユニシスグループのOSSセンターが開発をサポート
製造工程では、日本ユニシスが長年かけて培ってきたLWFのノウハウを存分に活用している。マネジメントを担当した日本ユニシス SW&サービス本部 金融第二統括P 木村宜史は「LWFは大手金融機関での開発実績も多く、当社の金融システム開発部でもLWFの開発指針や成果物に対する考え方は確立しています。また、LWFの技術主管部である日本ユニシスのOSSセンターの技術者が現場の最前線に出向いてサポートすることができますので、技術的な問題で開発が停滞することはありません」と話す。
製造工程のピークには、総勢250名のエンジニアが関わった。ミッションクリティカルなシステム開発では質の高いエンジニアを数多く集めることは必須だが、フレームワークを用いたことで一定の技術レベルを持つエンジニアを配置することができ、高いクオリティを維持することにつながったという。
何よりも過去にLWFによって三菱東京UFJ銀行様の他システムを開発した実績が安心感をもたらした。業務系アプリケーションの開発を担当した日本ユニシス SW&サービス本部 金融第二統括P システム3P 谷口由美は「LWFによる開発が2度目でしたので、自信を持って進めることができました。もちろん、LWFが初めてのエンジニアでも開発ツールやドキュメントが標準で提供されているLWFなら、戸惑うことはありません。実際、メインフレームで開発してきたエンジニアも、慣れないオープン系の開発にスムーズに移行できました」と指摘する。
製造工程のピークには、総勢250名のエンジニアが関わった。ミッションクリティカルなシステム開発では質の高いエンジニアを数多く集めることは必須だが、フレームワークを用いたことで一定の技術レベルを持つエンジニアを配置することができ、高いクオリティを維持することにつながったという。
何よりも過去にLWFによって三菱東京UFJ銀行様の他システムを開発した実績が安心感をもたらした。業務系アプリケーションの開発を担当した日本ユニシス SW&サービス本部 金融第二統括P システム3P 谷口由美は「LWFによる開発が2度目でしたので、自信を持って進めることができました。もちろん、LWFが初めてのエンジニアでも開発ツールやドキュメントが標準で提供されているLWFなら、戸惑うことはありません。実際、メインフレームで開発してきたエンジニアも、慣れないオープン系の開発にスムーズに移行できました」と指摘する。

また、新しいRTGSシステムは、データの処理量が増えることによって生じる高い負荷に耐えるインフラ性能を確保した。トランザクションは、1日に数万件でそのうち9割が午前9時から11時の間に集中する。取引金額も膨大で、日本の国家予算の半分に相当する数十兆円をたった1日で取引きするのだ。基盤構築を担当した海老澤氏は「インフラの性能テストは、製造工程の段階から前倒しで何度も繰り返し実施し、三菱東京UFJ銀行様のシステム部基盤第二グループと協力しながら問題点を一つひとつクリアしていきました」と苦労を明かす。
-
システム接続テストの環境構築とメンバー間の活発なコミュニケーションが成功のカギ
ミッションクリティカルなシステムだけに、接続テストも慎重に行った。RTGSシステムは、上流、下流を含めて7〜8つの業務システムとデータをやり取りする。そのため、18個のテスト環境を構築し、並行してテストを実行することで作業効率を高めた。三菱東京UFJ銀行の同氏は「完璧を期すため、やるべきテストはすべて実行する意識で取り組みました。障害を分析して新たな課題が浮上したら、スケジュールが許す限り追加テストを行っています。弱点やリスクを分析しながら臨機応変に実行したおかげで、障害対応にも万全を期すことができました」と秘訣を明かす。開発側にとっても「18個の環境が用意されているおかげで並行してテストを実行することができ、スケジュールが確保しやすかった」(谷口)という。
「ユーザーの環境は1つとは限りません。決済部門、外為管理部門、資金繰り部門など、複数の部署で異なる観点からシステムを使うことになるので、それぞれの業務で確実に使えることを検証する必要があります。そこで、部門に応じて○○部の検証はA環境、△△部の検証はB環境と分け、各業務で認識の相違が出ないように確認したことが成功につながっていると思います。また、本番データを使ったテストを通常のシステム以上に繰り返し実行することで既存業務の継続性を確保することに成功しました」(三菱東京UFJ銀行様)
プロジェクトの最大の成功要因は、プロジェクトチームの結束力が強く、メンバーが一丸となって開発に臨んだことである。2008年1月から10月までのテスト工程期間中は、ほぼ毎日、夕方から30分ほどの定例ミーティング(夕会)を実施。30人、40人のメンバー全員が参加し、日々発生する障害や問題点について熱い議論を重ねながら対策を練り、改善に努めた。
「ユーザーの環境は1つとは限りません。決済部門、外為管理部門、資金繰り部門など、複数の部署で異なる観点からシステムを使うことになるので、それぞれの業務で確実に使えることを検証する必要があります。そこで、部門に応じて○○部の検証はA環境、△△部の検証はB環境と分け、各業務で認識の相違が出ないように確認したことが成功につながっていると思います。また、本番データを使ったテストを通常のシステム以上に繰り返し実行することで既存業務の継続性を確保することに成功しました」(三菱東京UFJ銀行様)
プロジェクトの最大の成功要因は、プロジェクトチームの結束力が強く、メンバーが一丸となって開発に臨んだことである。2008年1月から10月までのテスト工程期間中は、ほぼ毎日、夕方から30分ほどの定例ミーティング(夕会)を実施。30人、40人のメンバー全員が参加し、日々発生する障害や問題点について熱い議論を重ねながら対策を練り、改善に努めた。

三菱東京UFJ銀行様は「メンバーがミッションクリティカルなシステムであることを認識し、本番稼働後に決済事故を起こさないという強い意思を持っていたことが大きいと思います」と語り、日本ユニシスの木村は「後戻りが許されない環境の中、三菱東京UFJ銀行様と日本ユニシスで真正面から意見交換ができました」と強調するように、両社のチームワークが生んだ成功といってもよいだろう。
本番システム稼働後の決済事故はゼロ
2008年10月、計画どおり次世代RTGSシステムが本格稼働し、それから半年近くが経った2009年4月末現在も、決済事故やシステム障害は発生していない。
性能の高い新システムに移行したことでパフォーマンスも向上し、ユーザーからも上々の反応が得られた。旧システムでは性能が限界に達していたため、ピーク時などではシステムからのレスポンスが1分近くかかることもあり、ユーザーからクレームが寄せられることもあったという。新システム移行後はピーク時でも10秒以内にレスポンスが返ってくるため、ユーザー満足度は確実に向上している。メインフレームからWeb系システムに移行したことによって生ずるユーザビリティの変化に対しても「操作性が落ちたといった声は聞こえてきません」(三菱東京UFJ銀行様)と概ね良好のようだ。
今後に関しては、2011年に稼働開始が予定されている第2期次世代RTGSへの対応が迫っている。第2期では全銀協の次期システムにおいて「大口内為取引のRTGS化」に対応することが制度として決定済みだ。同氏は「現システムの延長上で制度の追加に対応していく予定です。今回の開発がスムーズに進んだように、次回も三菱東京UFJ銀行と日本ユニシス間で協力体制を築きながら対応していきます」と展望を語っている。
性能の高い新システムに移行したことでパフォーマンスも向上し、ユーザーからも上々の反応が得られた。旧システムでは性能が限界に達していたため、ピーク時などではシステムからのレスポンスが1分近くかかることもあり、ユーザーからクレームが寄せられることもあったという。新システム移行後はピーク時でも10秒以内にレスポンスが返ってくるため、ユーザー満足度は確実に向上している。メインフレームからWeb系システムに移行したことによって生ずるユーザビリティの変化に対しても「操作性が落ちたといった声は聞こえてきません」(三菱東京UFJ銀行様)と概ね良好のようだ。
今後に関しては、2011年に稼働開始が予定されている第2期次世代RTGSへの対応が迫っている。第2期では全銀協の次期システムにおいて「大口内為取引のRTGS化」に対応することが制度として決定済みだ。同氏は「現システムの延長上で制度の追加に対応していく予定です。今回の開発がスムーズに進んだように、次回も三菱東京UFJ銀行と日本ユニシス間で協力体制を築きながら対応していきます」と展望を語っている。

三菱東京UFJ銀行様の今回の事例は、日本銀行が定めた次世代RTGSへの制度対応と、旧RTGSシステムの性能向上を目的に、新しいRTGSシステムの再構築をめざしたものだ。
三菱東京UFJ銀行様の今回の事例は、日本銀行が定めた次世代RTGSへの制度対応と、旧RTGSシステムの性能向上を目的に、新しいRTGSシステムの再構築をめざしたものだ。
新システムへの移行ポイントは以下の通り。
新システムへの移行ポイントは以下の通り。
-
新RTGSシステムの構築依頼を日本ユニシスが受け、日本ユニシスグループが提供するミッションクリティカルシステム向けのJavaアプリケーション開発フレームワーク「LWF」(LUCINA Web Foundation)を使った開発を提案。旧RTGSシステムの開発で蓄積した業務ノウハウと、LWFを用いて三菱東京UFJ銀行様の他システムを開発した実績を評価して案件を受注。三菱東京UFJ銀行様がシステムインテグレーションを中心に担当し、日本ユニシスがシステム開発を担当する2社体制で開発を進めた。
-
次世代RTGSへの第1期対応が2008年10月からスタートすることが決まっていた。さらに2008年3月から各金融機関と日本銀行が共同でオンライン接続試験及び総合運転試験を実施するため、自社内での開発・テストのリミットは2008年3月。期限厳守が至上命題だった。そこで、LWFの開発ガイド、設計書式、開発支援ツールなどを用いて開発工程の効率化や可視化を実現。LWFによる開発経験者をプロジェクトの中心に据えることでエンジニア間の意思疎通を図り、計画的に開発を進めることができた。最終的な総工数は約3000人月、開発期間は約25ヵ月。
-
製造工程では、日本ユニシスグループのLWF技術主管部「OSSセンター」(2008年当時)が全面的にバックアップ。技術的な問題で開発が停滞することなくスムーズに進んだ。
-
LWFは標準でオラクルのミドルウェア「Oracle WebLogic Server」上で稼働するフレームワークだが、今回の開発では、これまで対応のなかった「Cosminexus」上での稼働を目指すことになった。同様に、OSは対応実績の多いLinuxではなくUNIX系のAIXを使用することになった。日本ユニシスにとって技術リスクの高い開発だったが、三菱東京UFJ銀行様のシステム部基盤第二グループと密接に連携することで問題点をクリアにし、安定した基盤を構築することができた。
-
システム接続テストでは最大18環境を構築し、並行してテストを行うことで効率を高めた。準備と検証に手間と時間がかかる本番データを使ったテストも繰り返し実施し、旧システムと変わらない機能が実現できることを確認した。
-
テスト期間中(2008年1月〜10月)はプロジェクトメンバー全員が集まる夕会を毎日実施。日々発生する障害や問題点について三菱東京UFJ銀行様と日本ユニシスのエンジニアが積極的に意見交換し、問題点の解消に努めた。
-
プロジェクトメンバーの高い問題意識と、強力なチームワークがプロジェクトを成功に導いた。
システムイメージ図

*AtlasBase、MIDMOST、LUCINAは、日本ユニシス株式会社の登録商標です。
*Cosminexusは、株式会社日立製作所の日本における商品名称(商標または登録商標)です。
*AIXは、International Business Machines Corporationの米国ならびにその他の国における商標または登録商標です。
*Javaは、Oracle Corporation及びその子会社、関連会社の米国及びその他の国における登録商標または商標です。
*その他記載の会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。