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容量市場とは | 概要をもとに小売電気事業者への影響やスケジュールを理解しよう: Enabilityコラム

容量市場とは | 概要をもとに小売電気事業者への影響やスケジュールを理解しよう

2024年2月1日

日本にこそ必要とされる容量市場

2024年度より、「容量市場」が本格的に日本に導入されます。

自然災害や季節ごとに寒暖差がある日本においては、電力需要が大きく変動する中で、火力と原子力によるベース電源市場と電力供給の容量を確保する容量市場を合わせて導入することが必要と考えられています。

容量市場の開設によって電力市場がどのように変わるのか、小売電気事業者にとってどのようなメリット、デメリットがあるのかを確認しましょう。

容量市場とは

容量市場とは、電力量(kWh)ではなく、将来の供給力(kW)を取引する市場です。

将来の発電所の供給力を金銭価値化し、多様な発電事業者等の市場への参加を促すことで、必要な時に発電できる能力を効率的に確保する仕組みです。火力、原子力などの安定電源だけではなく、水力、風力、太陽光などの再生可能エネルギーや、DR(デマンドレスポンス)についても参加できます。

容量市場開設の導入背景と目的

小売全面自由化や再生可能エネルギーの導入拡大によって、卸電力市場の取引が拡大し、太陽光発電等が市場に売り出される時間帯は市場価格が低下することが考えられます。

それにより、電源の投資予見性が低下し、電源の新設・リプレース等が十分にされない状態で、既存発電所が閉鎖されていく可能性があります。

中長期的な供給力不足が顕在化した場合、電源開発に一定のリードタイムを要することから、需給がひっ迫した時に電力が不足したり、電気料金が高止まりしたりする等の問題が生じると考えられます。

以上のような問題を解決すべく、以下の目的を効率的に達成するために、容量市場が導入されました。

  • 電源投資が適切なタイミングで行われ、予め必要な供給力を確実に確保すること

  • 卸電力市場価格の安定化を実現することで、電気事業者の安定した事業運営を可能とするととも に、電気料金の安定化により需要家にもメリットをもたらすこと

容量市場開設のスケジュール

4年後の供給力を確保するため、毎年度メインオークションが開催されます。追加オークションは、需要や供給力変動等を踏まえ実需給年度の1年前に実施の判断がなされます。

メインオークション実施時期のイメージ

容量拠出金とは

容量市場の創設後は、国全体で必要な供給力(kW)を、市場管理者である広域機関が一括で確保します。小売電気事業者等は、国で確保した供給力(kW)への対価(容量確保契約金額)を「容量拠出金」として負担する必要があります。需要シェアに基づき負担するため、シェアの大きい事業者が多く負担することになります。

容量拠出金と容量確保契約金額のイメージ

容量拠出金の負担に注意

容量市場は、電力の安定供給のために導入されました。小売事業者にとっては、卸電力市場価格の安定化により、安定した事業運営が可能になるというメリットがあります。

2024年度以降、小売電気事業者は、容量拠出金を支払うことが必要になります。制度の動向を注視し、対策をしていくことが大切です。

重要ポイント
1.2024年度より容量市場が本格的に実施される
2.容量市場により、エネルギーの安定供給が可能になる
3.小売電気事業者には容量拠出金の負担が求められる

*Enabilityは、日本ユニシス株式会社の登録商標です。
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