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コラム|柿尾 正之氏のダイレクトマーケティングview 第1回

柿尾正之【かきお・まさゆき】

小売業・外食産業等のリサーチ・コンサルティング業務を経て1986年4月、JADMA:公益社団法人日本通信販売協会(所管:経済産業省)に入局。
おもに調査、研修業務を担当。主任研究員、主幹研究員を経て、理事・主幹研究員。2016年6月退任。
2016年12月 合同会社柿尾正之事務所 設立。現在、企業顧問、社外取締役の他、コンサルティング、講演、執筆等。

〔著書〕『通販~不況知らずの業界研究~』(共著:新潮社)等多数。
〔主な所属学会及び社会的活動等〕日本ダイレクトマーケティング学会理事
〔大学講師歴〕早稲田大学大学院商学研究科客員准教授、関西大学大学院商学研究科、上智大学経済学部、駒澤大学GMS学部、東京国際大学商学部、他多数。

柿尾 正之氏のダイレクトマーケティングview 第1回

2020年11月25日

この連載がスタートする現在、社会は相当の不自由な生活を強いられています。
そしてもう2020年はあと僅かで終わろうとしていますが、しばらくは、この不自由な生活から逃れられることが出来ないことを誰もが意識をしています。
このような状況において、店舗小売業が密であると敬遠される中で、インターネット通販に代表されるダイレクトマーケティング手法はソーシャルディスタンスとしての関係性から、注目されるようになっています。しかし、これまでは企業と顧客が離れておこなう取引形態(隔地者間取引)は消費者保護の視点から、さまざまなハードルが事業社側にはありました。そういう面からは店舗販売を補完するような位置づけであったとも言えます。

一方、別の視点から考えると、日本は国土面積が狭く、人口密度が高いことを背景に店舗密度は高く、ネット化比率(EC化率)は中国や米国をはるかに下回る数値であったことを忘れがちでもあります。(基本的には今でもそうです)つまり、日本のダイレクトマーケティングは諸外国とは異なる形態として歩み始めたのではないか?そしてコロナ禍の今でも、その本質は変わらないのではないか。小売業の多くの失敗は、外国でおこっていることが明日にでも日本でおこるかのごとく信じてしまうところが始まっているとも言われています。

私も偉そうなことは言えず、かつて米国で見てきたことを伝え続けてきたこともあり、その後日本での展開が予想通りにいかなかったことが多々あります。書店で販売している書籍に踊る短縮語や略語、キーワードの数々はだいたい海の向こうからやってきたものですが、その中でいったいどれだけが実効性があり、定着したのでしょうか。情報収集や学習することは良いことですが「それは何のために必要なのか」という本質的なことが、情報過多の最近は忘れ去れているようにも思えます。

第1回から、支離滅裂なセンテンスが続いていますが、この自問自答はこれから皆様とともに、現在の通信販売、ダイレクトマーケティングをご一緒に考えて頂く旅の始まりのウォーミングアップとでもご理解頂きたく思います。コロナ禍という特殊な背景を背負った私たちの前にどのような未来が待っているかはわかりませんが、少しでも視野を広げ、一人一人の質を高めていくことがビジネスとしてのワクチンに他ならないのではないでしょうか。
今後ともよろしくお願いします。