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eBuyerBrainsを活用した調達・購買分析の5つの分析手法:SRM コラム

2021年3月16日

eBuyerBrainsとは?

eBuyerBrainsは、見積・発注といったERPで担っているような調達基幹業務を行うことができるに加え、サプライヤー管理機能、調達分析機能などの管理業務や意思決定支援まで広範囲に調達・購買業務をデジタル化することのできる統合調達ソリューションです。
ERP、EDI、ポータル、マスタ管理、分析、AIなどの要素で構成され、部分的な導入も可能です。業務全体をデジタル化するため、部門全体でのテレワーク化も可能にします。

調達・購買分析とは?

調達・購買分析とは、最適なサプライヤーから最適な価格・最適な品質・最適な納期で購入するための意思決定の根拠を導き出すことです。
調達部門、購買部門に必要な分析とは大きく2つあります。1つは調達品の価格が適切かどうかを分析するコスト査定。もう1つは調達実績からQCD等の傾向を見極めてサプライヤー戦略に活かす分析です。
しかし残念なことにこれらの分析は個人任せになっているケースが多いのが実態です。ERPやEDIは導入されていますが、分析を行うための仕組みは整備されていません。そのため各個人が自力で行うものの、分析レベルには格差が出てしまいます。
だからこそ、個人の力量に任せた分析ではなく、部門全体で同レベルの分析を行う仕組みを整え、調達価格の適正価格を分析するコスト査定分析と、調達実績から様々な角度でQCDの集計を行うことのできる実績分析の双方を全員が行えるプラットフォームが必要です。

eBuyerBrainsを活用した5つの分析手法

調達品の価格が適切かどうかを判断するコスト査定の分析手法には、類似品から分析する手法、過去からの価格変動をベースに分析する手法、回帰線などを用いて分析するコスト査定の手法、コスト査定を更に推し進めてAI的な要素を元に予想価格を導き出す手法などがあります。
また、調達実績からQCD等の傾向を見極める分析には、実績データを様々な角度で集計してサプライヤー評価を行う手法があります。以下にそれらの手法をご説明いたします

  1. 類似品検索からの分析手法
    標準品であれ、カスタム品であれ、過去に購入した類似品の価格は参考になります。しかしながら過去の購入実績から類似品を抽出する術がなかなかないのが実態です。担当者が記憶を頼りに見積書を引っ張り出すものの目的のものになかなか辿り着けないといったことはないでしょうか。過去の実績を類似であるかどうかの観点で検索するためには、検索するための仕組みとそこに入るデータの双方が必要です。しかし発注・検収をメインにした基幹システムには類似であるかを判断するためのデータは保持できず、結局は各担当者任せになっています。類似であるかを判定するためにはeBuyerBrainsのように基幹システムの機能に加えて類似検索するための仕組みも兼ね備えたシステムが必要です。
  2. 価格推移確認からの分析手法
    繰り返し購入している調達品に場合は多くの場合、半年に1回、もしくは1年に1回の頻度で価格の見直しを行っています。購入数量の変動に伴うボリュームディスカウント額の見直し、継続生産することによる生産性の向上による価格低減、金型償却による償却費分の低減、原材料の変動による見直し、納入リードタイム変更による価格の見直し、物流コストの変動に伴う見直し、サプライヤー側の量産中止による特別対応での値上げ、為替変動による見直し、など理由は様々です。当初決定した価格を基準にして、その後どのような理由で変動したかを把握できていなければ、次の価格改定時にどうするか判断に苦しむだけでなく、類似品の価格を決める際にも情報不足となり、適正価格を決めるのにも苦しむことになります。今お使いのシステムでは価格変動の根拠を把握できていますでしょうか。ERPなどの基幹システムではできていないケースが大半です。
  3. コスト査定からの分析手法
    類似品検索の際にも似ているかどうかを判断するためには調達品のパラメータが必要ですが、更にコスト査定を推し進めるにもパラメータは必須です。これは標準品の場合でもカスタム品の場合でも同様です。パラメータには、諸元・仕様・性能・サイズ・重量などの数値情報や、製造方法、材質、仕上方法などの数値以外の情報があります。eBuyerBrainsではこのパラメータを特性値と呼んでいます。これらを使って類似品を抽出した上で散布図を用いて価格の傾向を確認し、さらに見積価格がこの散布図のどこに位置するかでおおよその値ごろ感を確認します。さらに価格の内訳である材料費や加工費などの細部に渡っても傾向を見ながら更に妥当性を判断します。特性値はなくてはならない情報ですが、現状は価格に関する情報しか手元になく、簡単な散布図を書けないケースが多いと思われます。eBuyerBrainsはWEB見積を取得する過程で特性値を入力・取得する仕組みを用意しています。
  4. AIコスト査定からの分析手法
    AIがインターネット上のデータから世の中の価格水準を導き出してくれないの? と魔法の杖のように考えている方がいらっしゃいますが、残念ながらなかなかそうはいきません。購入価格を社外に公表している企業は無く、自社が調達しようとしている品目を他社が一般的にいくらで購入しているかの情報は入手できません。標準品の価格はインターネット上にカタログ掲載されているケースがありますが、他社が実際にいくらで購入しているかは公表されていません。また、カスタム品はインターネット上にありません。従って自社の過去調達実績の品目からAI技術を使って予想価格を算出することになります。ただし、前述のコスト査定分析ができていることが前提となります。なぜならパラメータ(特性値)が重要な判断要素になるからです。
  5. 実績多軸分析手法
    調達実績と元に、サプライヤー毎の納期遅延率、品質不良率の集計をされているかと思います。調達部・購買部・資材部の受付近くの掲示板によくワースト10が張り出されているのを目にします。ただし、サプライヤー毎の評価が正しいとは限りません。同じサプライヤーから複数の全く異なる種類の物を調達している場合、そこには得意不得意があって同じ納期遅延率、同じ品質不良率ではないかもしれません。さらに納入先の事業所毎に集計したらさらに違った側面も出てくるかもしれません。このように単にサプライヤー毎に集計するだけでなく、さらに品目分類別、納入先別の軸を増やして分析することで、より本当の姿が浮き出てきます。その上でサプライヤー優先度の判断や想定取引規模の判断を行います。
    調達実績の生データを使って品質不良(Q)、調達額(C)、納期遅延(D)の実績を様々な軸で分析するのに、各個人のEXCEL頼みではやはり限界があります。生データ全てを取り込むに無理があるからです。必要なデータを必要な切り口で分析することのできる仕組みの有無は、調達戦略の質に左右すると言っても過言ではありません。

担当:インダストリーサービス第四事業部 村高浩司