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サプライヤー管理とは?管理方法、システム概要、管理手順を解説:SRM コラム

2021年3月16日

サプライヤー管理とは?

サプライヤー管理とは、サプライヤーの様々な情報を取得し、それらの情報から定期的にサプライヤーを評価して調達戦略策定に活かすことです。
製造業において生産に必要な部品や材料のすべてを内製することはできないため、外部から調達することは避けて通れません。そのため、サプライヤー(仕入先)は無くてはならないパートナーです。
では、製造業にとって良いサプライヤーとはどのような存在でしょうか。かつては買い手側が圧倒的に優位な立場にあるのが当たり前でしたが、重要部品などで技術力の高いサプライヤーに頼らざるをえない場合は売り手側が主導権を持つケースも多く見られるようになりました。
このように昔と異なり自社にとってどのサプライヤーがどんな立ち位置で、どのような関係を築けば良いかは、多種多様な条件を鑑みて総合的に考える必要があります。しかしながら意外と管理できている企業が少ないのが現状です。

サプライヤー管理によって策定する調達戦略はコスト削減、安定供給の確保、協力関係の構築、リスクの分散が目的ですので、サプライヤー管理ができて場合は極端な言い方をすると日々の業務に論理的な裏付けがないまま行きあたりばったりで調達していると言えるかもしれません。

サプライヤー管理システムとは?

サプライヤー管理システムとは、サプライヤーの状況を一元管理するために、サプライヤー情報の入手から、保管、共有、集計、分析までを行い、そのサイクルを維持することを可能とするITシステムのことです。
以前から発注データのやり取りをEDI化している事例は多く見られましたが、自社とサプライヤーとの取引関係を管理するようなシステムの利用状況はまだまだと言えます。サプライヤー管理とは、サプライヤーの状況を一元管理するため仕組みであり、基本情報に加え、財務、拠点、保有設備、CSR情報、評価情報、面談情報、取引額、納期遅延率、不良率、ドキュメント共有、チャット、アンケート調査、BCPサプライチェーン管理などを自社内のみならずサプライヤーとも共有しながら円滑な関係を築くための土台です。これらの情報の入手や保管をメールとEXCELで行っているケースが散見されますが、これだと紙の台帳で管理しているのと変わりません。

だからこそ、サプライヤー管理システムで、サプライヤー管理を効率化することが必要となります。

サプライヤー管理表のサンプルと項目解説

サプライヤー管理に必要な管理項目の一例です。情報更新が年1回程度の静的な情報以外に、実績などの日々蓄積され更新しなければならない情報もあります。

基本情報  住所、担当者など
CSR関連  取引基本契約締結状況、ISO取得状況など
財務情報  PL関連情報、BS関連情報
評価情報   財務、技術力、協力度、品質、納期、コストなど
面談情報  いつ、誰が、どんな内容を、どんな資料で打ち合わせをしたかなど
BCP管理   管理対象の品目とそのサプライチェーン
取り扱い品目   どんな品目分類を取り扱っているか、など
ドキュメント   双方で共有する文書類(基本契約書、評価レポート、監査報告など)
発注実績   月別、工場別、品目分類別の発注実績
納期実績  月別、工場別、品目分類別の納期遅延実績
品質実績  月別、工場別、品目分類別の品質不良実績
財務情報  PL関連情報、BS関連情報

サプライヤー管理の重要なポイント

よくあるお問い合わせでは、サプライヤーの情報を入手するにあたり、サプライヤーから直接入力してもらえるシステムが良いという声を聞きます。サプライヤー情報の更新が滞り、最新化されていないのでサプライヤーに入れてもらうことで最新の状態を保てるという期待があるからだと思います。もちろんメールでEXCELの管理台帳を送付・回収して集める場合と比べるとWEB画面から直接入力してもらうことで便利にはなると思います。ただし、これは更新が滞りがちな表面的な情報を入手しているに過ぎず、ここで終わってしまっては『管理』をしているとは言い難い状況です。基本的な情報の収集はサプライヤー管理の入口ではありますが、そこで終わってしまってはなりません。
取引額は? 自社への依存度は? 保有設備と生産できる品目分類は? 品質面での得意分野と不得意分野は? 財務面で不安は? 監査の結果は? これらの経年変化の履歴は? グループ全体で見たときは? 
様々な情報をベースに総合的な判断しなければなりませんので、自社の基幹システムからデータ連携で入手しなければならない情報もあり、サプライヤーから自己申告で入手することで負担を減らすことだけを目的にしては片手落ちとなってしまいます。
また、管理される側であるサプライヤー側にもたらされるメリットを無視して管理しては良い関係は築けません。自社のメリットだけを考えず、自社に貢献してくれるサプライヤーには何を返してあげられるかを考えた上で様々な依頼をするという姿勢を忘れてはなりません。当たり前のことですが、WinWinの関係を構築することもサプライヤー管理なのです。

担当:インダストリーサービス第四事業部 村高浩司