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IWMS/FMソリューション「ARCHIBUS」

デジタルツインとメタバースを正しく理解!特徴と違い、活用例を解説

IWMS/FMソリューション「ARCHIBUS」コラム
2022年11月14日

製造や都市計画の現場だけでなく、あらゆる場所で活用されている技術であるデジタルツイン。
活用次第で多くのメリットを生み出す技術ですが、仮想空間も関わってくるため、メタバースとの違いがわからないという方も多いようです。
そこで今回は、デジタルツインの特徴から、メタバースとの違い、実際の活用例について解説します。

デジタルツインの特徴

そもそもデジタルツインとは、どういったものかを解説します。
デジタルツインの特徴から歴史、デジタルツインを構成するもの、3つの観点から見ていきましょう。

デジタルツインとは

デジタルツイン(DigitalTwin)とは、「デジタルの双子」と訳せます。
現実世界・物理空間にある膨大なデータをIoTテクノロジーなどで取得して分析し、それを元にデジタル空間上にまるで双子のように再現する(コピーする)技術のことを指します。
IoTやAIテクノロジーの進化にともなって、デジタル空間上でよりリアルタイムにコピーを再現できるようになりました。
デジタル上にて、ほぼリアルに近い状態で分析、最適化を行えるようになるため、製造や建設の現場などで用いられることの多い技術です。
また、デジタルツインでは物理空間で将来起こるであろう変化をデジタル空間上でシミュレートできるため、物理空間上で起こる変化にも備えられるようになります。
デジタルツインとは

デジタルツインの歴史

「デジタルツインの概念を最初に導入したのは、NASA(アメリカ航空宇宙局)である」という説が一般的です。具体的には、NASAがアポロ計画で用いた「ペアリングテクノロジー」だといわれています。
月面調査へ向かったアポロ13号は、宇宙飛行中に酸素タンクが爆発するアクシデントに見舞われました。しかし、地球上のデジタルツインを活用してシミュレーションを実施したことで、無事地球へ帰還できたのです。
このように、実際の機体や設備の使用前、現場でのアクションを行う前にシミュレーションすることで、問題を未然に防ぎ、解決できることがデジタルツインの価値であるといえるでしょう。
現在では、さまざまな先端技術の発達に伴い、デジタルツインは多くの産業やビジネスの現場で活用されています。

デジタルツインの構成

デジタルツインは、これまでに普及してきた、さまざまな知識や技術を掛け合わせたテクノロジーであり、集合体であるといえます。
たとえば、設計や製品データ管理のCADシステムや、製造ラインのシミュレーションが行える3D技術、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、物理空間の膨大なデータを処理分析するためのIoT、などが該当します。
これらの技術は単体でこれまでも存在していたため、それぞれの名称を聞いたことがある方も多いでしょう。
デジタルツインは、このような技術やテクノロジーを組み合わせたものであるといえます。

デジタルツインとメタバースの違い

2021年の10月にFacebookが社名を「メタ」に変えた頃から、急激にバズワードとして普及したのが「メタバース」です。
デジタルツインとメタバースは、概念として似ているところもあるため、混同されがちです。
ここでは、メタバースとの違いについて見ていきましょう。

メタバースとは

メタバースとは
メタバースとは簡単にいえば、ネット上に構築された現実世界とは異なる、3次元の仮想空間やそのサービスのことを指します。語源はメタ(超)とユニバース(宇宙)を合わせた造語です。
アバターを作ることで、まるで自分がその3次元世界の住人のように活動できることが特徴といえます。
現在ではゲームの世界や、アバターを利用して参加するビジネスのバーチャルミーティングなどでも活用されています。

デジタルツインとメタバースの違いは?

冒頭でもお伝えしたように、デジタルツインとメタバースは似たような概念ですが、実はまったく異なるものです。
まずは、それぞれの定義を簡単に見比べてみましょう。
デジタルツインとは、現実世界・物理空間をデジタル上にコピーして再現するもの。
一方で、メタバースとは、3次元の仮想空間でアバターを起点として活動できるもの。
仮想空間を作り出す、という点だけを切り取れば、確かに似たような概念で混同してしまうかもしれません。しかし、デジタルツインが現実世界をコピーしてシミュレーションなどで役立てるのに対し、メタバースは必ずしも仮想空間と現実世界がリンクしているわけではありません。
また「アバター」が起点となって、仮想空間で活動できたりするというのも決定的に異なる点といえるでしょう。
ビジネスのバーチャルミーティングでも活用されているとおり、メタバース内では、アバター同士のコミュニケーションも発生します。
あくまでアバターの姿となっているだけで、人が意思決定したり、コミュニケーションを取ったりと、活動できる仮想空間がメタバースなのです。
このように、デジタルツインはシミュレーションの場、メタバースは意思決定・活動できる場、といいかえることができます。
つまり、デジタルツインとメタバースは、一見似たような概念ですが、実はまったく切り口が違うテクノロジーである、ということです。

メタバースで実現できること

先ほど申し上げたように、メタバースの特徴は仮想空間内でアバターを介して人同士のコミュニケーションを取れることです。
今後さらに普及していくテクノロジーとされていますが、いま最も活用されているシーンとしては、ビジネスとゲームでしょう。
まずビジネスにおいて、思い浮かぶのはバーチャル会議です。
ひとつの仮想空間に複数のアバターが集まり、コミュニケーションが取れます。会話や資料の確認も行えるだけでなく、インターネット環境があれば、どこからでも参加できるため、今後より普及すると考えられています。
そして、今後さらに大きな市場となりそうなのが、メタバースが新たなビジネスのプラットフォームになることです。
たとえば、仮想空間内にバーチャル店舗を出して、そこへ集客し購買へつなげるというものもそのひとつ。
実際の店舗と同じ商品をバーチャル店舗上でも取り扱っているため、アバターでの接客や説明文を読んで商品を気に入れば、ECサイトへリンクして購入できます。
つまり、現地へ行かなくとも仮想空間上でリアルに近い買い物体験を楽しめるようになるのです。また、アバター同士で一緒のお店へ行って買い物やデートすることも可能となるため、新たなコミュニケーションの場所といえるでしょう。
一方、ゲームではオンラインゲームを中心に、メタバースの活用が進んでいます。
具体的には「フォートナイト」や「マインクラフト」「あつまれ動物の森」などで、ゲームの世界に集まった参加者(アバター)同士での協力プレイや、コミュニケーションなどが楽しめます。
今後は、ゲームの空間が、会う場所、集まる場所の定番となっていくのかもしれません。

デジタルツインのメリット

続いては、デジタルツインのメリットについて解説します。大きくは5つのメリットがありますので、それぞれについて見ていきましょう。

物理的な制限を超えた作業ができる

まず、デジタルツインは仮想空間上にコピーが作られるため、物理的な制限、たとえばスペースやコスト面における制限を気にする必要がありません。
新しい製品やサービスを生み出す工程で、シミュレーションして強度や危険性をチェックする場合、現実世界では一度失敗してしまうと、元に戻すのも大変です。
しかし、デジタルツインならば仮想空間の中での失敗となるため、起こりうるリスクも最小限に留められるでしょう。
さらに現実世界の膨大かつリアルタイムのデータを収集し、仮想空間へ反映しているため、より詳細なシミュレーション結果を得ることもできます。

コストダウンを実現できる

とある製品のシミュレーションデータを取りたい場合、現実世界においては試作品を作らなければなりません。
元となる製品自体が高価なものであればあるほど、試作品を製作するコストも高くなり、試作品を試験的に動かす実験にも人件費や場所代を含めてコストが発生します。
その点、デジタルツインではそれらの工程を仮想空間上で行えるため、圧倒的なコストダウンを実現できます。さらに、新しい開発や設計を始めるにあたって必要となる、コストや人員の試算も可能です。
また、試作品を改良することを考えても、デジタルツインであれば改良点がすぐにフィードバックされるため、素早く次の試作品へ活かせるでしょう。つまり、時間的なコストも削減できるといえます。

リードタイムを短縮できる

デジタルツインの活用で、生産管理の最適化や業務効率化も期待できるため、リードタイムを短縮できるでしょう。
リードタイムとは、開発から生産、流通まで、着手してからすべての工程が完成するまでの所要期間のことを指します。
現実世界では簡単ではないシミュレーションでも、デジタルツインであれば何度もでき、その都度フィードバックも可能なため、効率よく無駄を省けるようになるでしょう。
そのため、試作品やラインの構築にかかっていた物理的な時間を最小化でき、発注から出荷までのすべての工程を短縮することにつながるということです。

メンテナンスがスムーズにできる

生産ライン全体をデジタルツインでコピーしておけば、現実世界の膨大なデータから処理・分析するため、メンテナンスが必要な箇所をスピーディーに把握できます。そのため、メンテナンスをスムーズにできるのです。
また、デジタル上にリアルタイムのデータをモニタリングできるため、改善策を打ち出すこともスピード感を持ってできるでしょう。
すでに市場に流通している製品に問題が発覚した場合も、どこのプロセスで問題が生じたのかをデータから導き出せるのもデジタルツインならではの特徴といえます。

良質なアフターケアを提供できる

デジタルツインを活用すれば、製品が流通し、顧客の元に渡ったあとも取り付けた仮想センサーでデータを取得し、製品状況の把握・寿命予測ができるようになります。
つまり、デジタルツインは製造過程のモニタリングだけではなく、アフターケアでも活用できるということです。
たとえば、バッテリーの消耗具合や、使用状況に応じて、適切なタイミングでサポート案内を送り、アフターサービスを提供できるようになるでしょう。
顧客満足度をあげ、他社と差別化を図っていくために、アフターケアサービスの充実は欠かせません。デジタルツインならば、流通後の部分でも役立ってくれるのです。

実際に活用されているデジタルツインの事例

では、実際にデジタルツインが活用されている事例について見ていきましょう。ここでは、自動車、航空機、医療機関における3つの事例を取り上げます。

自動車業での活用事例

自動運転や電気自動車の産業では、デジタルツインの活用が増えています。
たとえば、テスラでは製造しているすべての車でデジタルツインが作成され、車と工場の間で常時データが共有されるようになっています。また、デジタルツインを活用した性能の調整と試験を常に行い、車に最新のソフトウェアをインストールしています。
リアルタイムでデータを収集、分析し、スピーディーに改良を重ねながら開発を進めているのです。
そのほかの事例として、渋滞予測などの情報提供、運転手の瞬きの回数を検知しての居眠り運転防止など、データを活用した新たな仕組みもあります。
車両と運転手の情報を集約して適切なタイミングで休憩を進めるなど、データが増えるほど応用できるバリエーションも広がっていくでしょう。

航空機のエンジンでの活用事例

航空機ではエンジンなどに取り付けた数百以上のセンサーからリアルタイムにデータを収集しているため、不具合などをすぐに検知できるようになっています。
不具合による事故が起きれば、航空機の場合、多くの命が失われかねません。万が一の事故が発生する前に、不具合を検知できるようになっているのは大きな安心材料といえます。
また、デジタルツインで取得したデータをもとに適切な頻度でメンテナンスや交換ができれば、余計なコストをかけずに済むのもメリットです。

医療機関での活用事例

ウェアラブル端末を通じて患者の脈拍や血圧、体温などの健康情報の収集、臨床検査や画像診断のデータ、個人の遺伝子や行動のデータなどもデジタルツインに書き込めます。
上記のようなデータをひとつの仮想患者像に統合することで、患者の病歴をより完全に把握できるようになるでしょう。
そのほか、勤務する医師や看護師のいる場所がわかれば、不足気味のところへ人員を送るなど、人員配置の最適化ができると同時に、労務管理も行えるようになります。
医師や看護師の負担を軽減させ、他のところに注力できるようになり、結果的に医療体制、医療サービスの向上が見込めるようになるのは大きな活用メリットです。

デジタルツインの事例が注目を集める理由

最後に、デジタルツインの事例が注目を集めている理由について解説しておきます。
大きな理由は、DX(デジタルトランスフォーメーション)とIoTの活用事例が反響を呼んでいること、そしてそれらのテクノロジーや考え方が一般的に浸透しつつあるためです。
DXでは、デジタル技術を用いて、生活やビジネスの現場をよりよくしていきます。
これまでデジタル化を実現できなかった企業も、DXの普及と導入により情報のデジタル化が急速に進んでいます。さまざまな情報をデジタル化できるようになったことで、デジタルツインの導入もスムーズになったのです。
さらに、すべてのモノをインターネットとつなぐIoTでは、インターネットに繋ぐことで多くのモノのデータ化、可視化できるようになりました。
そのため、危険を未然で防ぐことに役立った、状況の把握が容易となったという実績が生まれ、その結果デジタルツインを導入した事例が増えたのです。
デジタルツインの事例が注目を集める理由

まとめ

デジタルツインとは、現実世界にあるデータから仮想空間にコピーを生み出す技術のことです。
現在、製造や工事、都市計画の現場など、幅広く活用されており、その歴史はNASAが発祥だといわれています。
メタバースとは仮想空間の部分では似たような概念ですが、製品やサービスなどのシミュレーションがメインであることから、まったく違う切り口のテクノロジーであることがわかりました。
活用するメリットの多さから、自動車や航空機、医療業界での活用事例も増えておきており、今後さらに多くの業界でも活用されていくでしょう。