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Foresight in sight

旧日本ユニシスのニュースリリース

2016年9月1日

日本ユニシス
長野県塩尻市でメッシュ型地域通信ネットワークの新たな実証実験を開始 〜 災害に強く、便利な、未来の『情報通信インフラ』の検証 〜

日本ユニシス株式会社(本社:東京都江東区、社長:平岡 昭良、以下 日本ユニシス)は、長野県塩尻市でメッシュ型地域通信ネットワーク(以下 NerveNet)の新たな実証実験(注1~注4)を開始します。2015年7月から第一弾の実証実験では、耐災害ネットワークの平時活用を狙い、NerveNetを使って行政情報や災害情報などを安定的に情報配信しました。今回の実証実験では、引き続き平時活用の取り組みとしてバス接近情報の配信を行い、それを通してさまざまな時空間データ(注5)を最適に活用する時空間データ管理プラットフォーム(注6)のあり方を検討します。
それに加えて、NerveNet単体での特徴を生かして、さまざまな災害シーンを想定し、従来の防災無線を補完するために災害時における活用を行います。これらの実証実験により、日本ユニシスは、塩尻市などの地域でNerveNetの継続的な利用や実用化を目指します。
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が開発したNerveNetは、従来の携帯電話や固定電話と異なり、各基地局のサーバーに情報を持ち、かつ基地局同士が網の目のようにメッシュで接続されます。また、自動経路生成機能を持つことで、回線が切断されても分散配置された別のサーバーからサービス提供を継続でき、地域通信ネットワークの耐災害性を向上します。

■バス接近情報に関する実証実験

郊外に住む自動車を運転しない高齢者にとって、地域の公共交通機関であるバスが重要な生活の足です。バス停付近の施設にロビーや待合室がありますが、バス接近に関する情報が無いため、高齢者が炎天下や降雪時に屋根の無いバス停でバスを待ち続ける課題があります。特に積雪が多い冬場は、バスが渋滞により遅延しがちで、高齢者が病院への通院でかえって体を悪くする可能性があります。
 こうした地域ニーズを踏まえ、NerveNetのブロードキャスト通信の仕組みを用いて、バスの位置と時刻情報を市内複数のデジタルサイネージ(電子看板)へ配信し、地図上にバスの現在位置をバス接近情報として表示します。これにより、高齢者は市役所、支所、図書館、病院などのロビーや待合室で快適にバスを待つことができます。さらに、バス利用者の利便性や快適性向上により、バス利用者の増加が見込め、公共施設の集客や街の賑わいの創出も期待されます。
また,すでに構築した耐災害性ネットワークを複数の平時アプリケーションのプラットフォームとして活用することで、経済的な効果が見込まれます。

■NerveNetの災害時の活用

9月4日に、両小野中学校(長野県塩尻市)で開催される「塩尻市民総合防災訓練」で、NerveNetを使って、従来の防災無線を補完する機能として、災害時に役立つ情報収集・配信のデモンストレーションを予定しています。具体的にはNerveNet基地局を使用した地域内音声通話や音声ファイルの同報配信、耳の不自由な人のための文字による安否情報の収集配信、デジタルサイネージを使用した情報配信、紙媒体や手書き文字の情報配信を行います。これらにより、災害時や復興支援の際に、地域住民にさらなる安全安心を届けられるようになります。
また、10月19日~21日、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催されるイベント「危機管理産業展2016(RISCON2016)」(主催:株式会社東京ビッグサイト)に出展し、同様のデモンストレーションを予定しています。

■NerveNet実用化に向けて

日本ユニシスは、塩尻市などの地域でNerveNetの継続的な利用や実用化を目指し、これまでの実証実験や実証フィールドで得られた成果を生かして、オープンイノベーションを見据えたビジネスモデルを検討していきます。塩尻市周辺の自治体や企業への展開や応用、地元地域の大学やベンチャーとのコラボレーションを引き続き行います。

以上

■図1 バス接近情報(画面イメージ図)


■図2 ビジネスエコシステム


■補足解説

今回の実証実験では、バス利用者目線でのデータ遅延やロスが無いこと、NerveNetのメッシュ部分の通信は100ミリ秒以下で通信することを検証します。これにより、今回のようなリアルタイム性が要求されるアプリケーションへの対応、分散配置されたシステムへの同期性の展開が可能になります。
時空間データ管理ができていない場合、利用者からのバス遅延に対する問い合わせにバス会社が的確に答えることができず、バス会社からバス運転手への電話連絡もタイミングが限られるため、実際のバス運行状況を把握することが難しい状況にあります。時空間管理データを用いてバスの走行記録を平時から分析することで、遅延などを含む状況把握や問い合わせ対応が可能になり、災害時の通行止め区間や迂回路を把握することも可能になります。さらにビッグデータ解析を行えば、最適なバス停設置位置やバス運行タイミングを算出することで、バス利用者のニーズを発掘し、新たなビジネス価値を見出すことが期待できます。
移動体の位置情報を管理し、基地局間で迅速に情報連携することでNerveNetに付属する情報表示端末上でさまざまなサービスを展開することができます。このようにNerveNetでは、アプリケーションのニーズに対応するためのプラットフォーム機能強化を目指しています。
NerveNetの災害時の活用では、通信回線が切断された場合には迂回路で通信し、孤立した場合には基地局サーバーによりサービスを継続することができ、耐災害性を向上します。また、NerveNet基地局は可搬タイプであるため、屋外固定設置だけでなく、屋内での簡易設置にも対応しています。災害時に通信可能なさまざまな通信回線と組み合わせて使うことも可能です。

■塩尻市の実証実験 視察のご案内

塩尻市での「メッシュ型地域通信ネットワーク(NerveNet)の実証実験」にご興味のある自治体や企業の方などに対して視察の対応をいたしますので、下記窓口までお問い合わせください。

<実証実験の問い合わせ窓口>
日本ユニシスNerveNet委託研究チーム
E-mail:nul-nervenet@ml.unisys.co.jp

注記
注1:メッシュ型地域ネットワーク(NerveNet)のプラットフォーム技術の研究開発

(2014年9月3日付ニュースリリース) 日本ユニシスは、株式会社フィンチジャパン、ナシュア・ソリューションズ株式会社、国立大学法人東北大学と共同で、国立研究開発法人情報通信研究機構から「メッシュ型地域ネットワークのプラットフォーム技術の研究開発」を受託しました。 本委託研究の最終目標は、研究最終年度である平成28年度(2016年度)内に自治体や企業がNerveNetを活用したアプリケーションやプラットフォームを採用することを目指します。
http://www.unisys.co.jp/news/nr_140903_meshnetwork.html

注2:災害に強い地域通信ネットワークの実証実験を塩尻市・松江市で実施

(2015年5月13日付ニュースリリース) 日本ユニシスは、国立研究開発法人情報通信研究機構からの委託研究事業「メッシュ型地域ネットワークのプラットフォーム技術の研究開発」において、長野県塩尻市と島根県松江市と実証実験に向けて連携します。平成27年度(2015年度)からそれぞれの地域内で、さらに両地域を連携して、地域特性を踏まえたアプリケーションにNerveNetを適用する仕組みとその効果を検証します。
http://www.unisys.co.jp/news/nr_150513_meshnetwork.html

注3:長野県塩尻市で災害に強い地域通信ネットワークの実証実験を開始

(2015年7月24日付ニュースリリース) 日本ユニシスは、長野県塩尻市で災害に強い地域通信ネットワークの実証実験を開始します。塩尻市から塩尻市民へメッシュ型地域ネットワークを使って行政情報や災害情報などを情報配信します。平時・緊急時の両面から情報配信の質・量の向上を図り、その効果を検証します。
http://www.unisys.co.jp/news/nr_150724_meshnetwork.html

注4:島根県松江市でメッシュ型地域通信ネットワークの実証実験を開始

(2015年12月15日付ニュースリリース) 日本ユニシスは、島根県松江市でメッシュ型地域通信ネットワークの実証実験を開始します。NerveNetのセキュリティの観点で、市役所外からのイントラネットへの安全なアクセスと、自治体間の安全な情報連携の実証実験を通じて、行政サービスの向上や地方創生を目指します。
http://www.unisys.co.jp/news/nr_151215_meshnetwork.html

注5:時空間データ

時空間データとは、自動車などの移動体の位置(緯度・経度・高度)と時刻のデータです。

注6:時空間データ管理プラットフォーム

時空間データ管理プラットフォームとは、時空間データを扱うデータベース・通信・インター フェースです。その機能は4つあり、配信機能、取得機能、管理機能(地図やバス停位置など の静的データ)、入力機能(移動体の位置など)です。さまざまな種類の時空間データ管理が可能 なプラットフォームとして設計してあり、バス以外にも、ごみ収集車、除雪車、避難物資の物 流などにも幅広く応用できます。また、プラットフォームとして、汎用化、アプリとの境界、 オープンデータとの関係性などを考慮してあります。災害時だけでなく、平時の有効活用や複 数アプリケーションのためのプラットフォーム機能があります。

商標、登録商標
  • 記載の会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。
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