2014年11月28日
日本ユニシス
JAXA衛星データ活用プロジェクトのエネルギー分野で採択
〜 IoT(注1)とビッグデータ利用で、電力系統受入可能量拡大に向けた新技術開発
国内初の衛星データを導入したEMSの高度化へ 〜
日本ユニシス株式会社(本社:東京都江東区、社長:黒川 茂、以下 日本ユニシス)は、独立行政法人宇宙航空研究開発機構(本社:東京都調布市、理事長:奥村 直樹 以下 JAXA)の地球観測衛星データの利用拡大に向けたビジネス・インキュベーション(注2)施策「衛星データを活用した新たなビジネスソリューション構築のためのパイロットプロジェクト (注3)」に「EMS(Energy Management System) (注4)サービスへの衛星データ活用」を提案し、「新規に開拓する利用分野」のエネルギー分野において採択されました。
【プロジェクトの背景】
環境負荷の少ない将来の主力電源として推進されている再生可能エネルギーのうち、「太陽光/風力発電」は、設備開発期間が短い・低コストなどの事業リスクが低いことから、我が国の再生可能エネルギー導入拡大の要として期待されています。
しかし、天候などの外部環境の影響を受けて発電出力が変動すると需給バランスが崩れて電力系統に支障が出る恐れがあり、再生可能エネルギー電源の大量導入を実現するためには、変動電力に対応した需給バランスの調整力が必要とされています。そのため、最近では電力事業者が新規の太陽光発電契約の受け入れを制限するなど制度の見直しが議論されています。外部環境の高精度な予測が可能になれば、きめ細かな需給計画や他の調整用発電機と組み合わせた電力需給調整により、電力の安定供給・系統受入可能量の拡大を期待することができます。
【プロジェクトの内容】
本プロジェクトでは、地球観測衛星センサーと地上センサーから取得したビッグデータを解析し、外部環境による再生可能エネルギーの電力変動に対応した従来よりも高精度な発電量の予測を行うシステムの実現を目指します。さらに、当社のEMSサービスに適用することで、より付加価値の高いサービスを提供します。
利用する地球観測衛星は、最新衛星「GPM主衛星(注5)」を含む複数の衛星です。これら衛星の膨大なデータを解析して、リアルタイムな電力管理を行うEMSへ適用するのは国内初の取り組みです。なお、再生可能エネルギー発電予測モデルの開発およびフィールド検証は、研究機関や発電所を持つ事業会社などと協業します。
■プロジェクト概要図
【今後の取り組み】
日本ユニシスは、本プロジェクトにより最長で3年間、JAXAから衛星データや技術アドバイスの提供を受け、JAXAと連携しながら協業企業との実証実験を通し、ビジネスモデル・技術の構築を図ります。当社は、本プロジェクトを通して、分散電源の効果的かつ安定的な運用にも取り組みます。
また、膨大なデータを使いこなすデータサイエンティスト育成、およびIoT領域におけるビッグデータ解析技術の強化をすることで、他分野への発展を鑑みた社会基盤ビジネスの強化を図ります。
日本ユニシスでは、経済産業省の「平成23年度エネルギー管理システム導入事業費補助金(BEMS)」(注6)におけるBEMSアグリゲータ(注7)に採択され、当社のクラウド型EMSサービス「UNIBEMS ®」により中小ビルなどの節電を支援しています。また、経済産業省の「スマートマンション導入加速化推進事業費補助金(MEMS)」(注8)におけるMEMSアグリゲータ(注9)に対して、当社のクラウド型EMSサービスを提供し、マンションの節電を支援しています。
日本ユニシスは、これらの実績をもとに、本プロジェクトを通してEMSの高度化を図り、社会全体の省エネルギー・省CO2に貢献します。
- 注記
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- 注1:IoT(Internet of Things)
コンピュータなどのIT関連機器だけでなく、さまざまな“モノ”に通信機能を持たせてインターネットに接続する技術です。相互通信が可能となり、遠隔での操作や計測・制御などを行えます。
- 注2:ビジネス・インキュベーション
新たな事業を創出するための支援と連携活動のことです。
- 注3:衛星データを活用した新たなビジネスソリューション構築のためのパイロットプロジェクト
地球観測衛星から得られた衛星データが多彩なビジネスシーンで活用され、ビジネスに役立つ情報インフラとして衛星データの利用が定着することを目指して、JAXAが公募したものです。
- 注4:EMS(Energy Management System)
電気やガスなどエネルギーの利用実態を詳細に把握し、運用改善/自動制御を実施することで、省エネルギーおよびエネルギーコストの低減を支援するエネルギー管理システムです。一般に戸建住宅を対象にしたものがHEMS、公共施設・商業施設などのビルを対象にしたものがBEMS、マンションを対象としたものがMEMSと呼ばれています。
- 注5:GPM
GPM主衛星は、JAXAの世界でただ一つの雨雲スキャンレーダ「DPR」を搭載し、世界中の雨の様子を詳細に観測することで、天気予報の精度改善や、世界の水資源の把握、水循環メカニズム解明などへの利用が期待されています。
- 注6:平成23年度エネルギー管理システム導入事業費補助金(BEMS)
中小ビルなどの高圧小口電力需要家におけるBEMSの導入を促進し、エネルギー使用の効率化および電力需要の抑制を図ることにより無理のない節電をすすめることを目的に立ち上げられた経済産業省の補助事業です。
- 注7:BEMSアグリゲータ(エネルギー利用情報管理運営者)
中小規模ビルなどにBEMSの導入を促進させるとともに、クラウドシステムによって自ら集中管理システムを設置し、高圧小口電力需要家に対してエネルギー管理支援サービス(電力消費量を把握し、節電を支援するサービス)を行う事業者のことです。
- 注8:スマートマンション導入加速化推進事業費補助金(MEMS)
マンションにおけるMEMSの導入を促進し、エネルギー使用の効率化および電力需要の抑制を図ることにより無理のない節電をすすめることを目的に立ち上げられた経済産業省の補助事業です。
- 注9:MEMSアグリゲータ(エネルギー利用情報管理運営者)
マンションにMEMSを導入するとともに、クラウド等によって自ら集中管理システムを設置し、補助事業者に対してエネルギー管理支援サービス(電力消費量を把握し、節電を支援するサービス)を行う事業者のことです。
- 商標、登録商標
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- UNIBEMS/ユニベムスは、日本ユニシス株式会社の登録商標です。
- その他記載の会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。
- 関連資料
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- JAXAの衛星データ活用プロジェクト概要図 > [PDF] (200KB)
- 関連リンク
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