2010年6月22日
日本ユニシス、佐賀大学
「医療の質」と「効率の質」の両立を目指し、
国内初、新しいDPC管理会計システムをクラウド型サービスで提供開始
〜 病院経営の見える化を支援するICTサービス 〜
日本ユニシス株式会社(本社:東京都江東区、社長:籾井 勝人、以下 日本ユニシス)と国立大学法人佐賀大学(所在地:佐賀県佐賀市、学長:佛淵 孝夫、以下 佐賀大学)は、高水準な病院経営を維持するための新しい管理会計の仕組みであるDPC(注1)管理会計システムについて共同研究し、クラウド型サービスとして、本日から提供開始します。本システムは、国内初のクラウド型ICTサービスです。
平成15年から、医療の行政改革により、急性期病院(注2)では、入院医療費の請求方式を従来の「出来高払い方式」(注3)から、「診断群分類(DPC)包括評価に基づいた定額支払い方式」へ急速に移行しています。これに伴い、病院には原価管理に基づく健全な病院運営が求められており、安定した経営基盤への転換が急務であると考えられています。
このような背景から、佐賀大学は「質の高い医療を効率的に提供する」ことを目的に、本システムを佐賀大学医学部付属病院(所在地:佐賀県佐賀市、病院長:宮崎耕治 氏)にて独自に開発しました。本システムは、診療科ごとのコスト配賦基準に説明が難しい従来の配賦方式とは異なり、各診療科をひとつの独立した専門病院に見立てる『テナント方式』と、部門間のサービスをコストとして支払う『院内取引方式』を採用し、診療科別の損益管理・原価管理を行います。これにより、診療科・中央診療部門ごとで経営状態を把握し、経営の自主性を高めることができます。さらに、固定費比率と収入に着目し疾患別の収支モデルを分類し、医療の質と効率性を可視化することができます。また、病院内の財務・人事などの部門システムとの連携は不要のため、システム導入の時間や経費などの負担が少なく、システムをすぐに使用することが可能です。
本システムは、クラウド型サービスとして提供するため、病院はシステム導入時の初期費用は不要で、月額利用料のみで利用できます。本サービスの月額料金は、ソフトウェア(ライセンス)使用料、データセンター使用料、サーバー、運用費などを含めて、月額9万円(税別)からです。
日本ユニシスは、将来的には、データーセンターに蓄積された臨床情報からベンチマークされたデータを元に、急性期病院と他の亜急性病院やクリニックなどとの地域間連携を実現するクラウド型サービスへの展開も視野に入れています。
また、日本ユニシスと佐賀大学は、今後も産学連携で医療分野におけるさまざまなサービスを共同研究していき、「医療の質」と「効率の質」の両立による質の高い医療の実現を目指していきます。
本サービスの特徴は、下記のとおりです。
- 「テナント方式」管理会計の考え方
本システムでは、各診療科をひとつの独立した専門病院とし、各中央診療部門・管理部門でそれぞれ専門サービスを提供する会社として収支管理を実施します。例えば、それぞれの診療科を整形外科病院や循環器病院のような専門病院と見立てます。また手術部や放射線部をカラオケボックスや映画館のように使用した時間・回数で課金する会社と考えます。看護部は人材派遣会社、管理部や薬剤部はアウトソーシング会社と考えます。このように診療科・中央診療部門ごとの収支管理を行うことで、複雑な医療サービスコストを限定的に、シンプルに捉え収支管理を行うことで、迅速かつ容易に原価管理を適正に実施することができます。
- 院内の「専門病院化」した各部門の経営状態(KPI:重要業績評価指標)分析が可能に
入院医業の場合、医療資源を維持するにはベッド収入が唯一であり重要であるため、本システムでは、KPI(Key Performance Indicator)を「1ベッド当たりが負担しなければならないコスト」の1項目に絞り込み、そこからわかる経営課題をさまざまな角度で表現し、わかりやすく提供しています。当然、病床稼働率による、固定費比率の変化に対応し、KPIによる分析の質を高めています。
- KPI応用のコストモデル化で、患者別に日ごとの収支推移が把握可能
DPC請求金額と対出来高採算金額との比較が経営分析には不十分であり、また期間I、IIを在院日数目標と設定しても、それが必ずしも経営的に優位であるとは言えません。本分析方式により、疾患ごとでの収支状況、期間I、IIに左右されず収益に伴う在院日数の把握が可能となります。本コストモデル手法によりDPCコード別に4分類(Hospital Fee型、Dr Fee型、不採算型、リカバリ型)され、DPCコード別、患者別に収支分析を行い、医療の質の低下と収益悪化の関係性を可視化して、診療科にフィードバックすることができます。
- すぐに使えて、初期費用が不要、セキュリティも安心
コストの配賦では、人件費等のタイムスタディを必要とせず、また売上による按分も行いません。画面に沿って入力するだけで、必要かつ十分なコスト配賦基準が作成できます。DPCデータ(注4)を利用して、導入日から分析可能となっており、運用も同様に簡単に行えることも医療現場でのニーズを反映しています。
またクラウド型サービスのため、初期費用は不要で、月額利用料のみです。日本ユニシスのデータセンターにより、堅牢なセキュリティと高速データ処理されたサービスが提供されるため、いつでも安心して利用でき応答時間のストレスもありません。さらに、制度改正などの改修対応時も一切の追加料金も不要です。
以上
- 注1:DPC (Diagnosis Procedure Combination:診断群分類)
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診断と治療行為を組み合わせた分類のことです。従来の出来高払い方式とは別の算定方式である「包括評価方式」の基準となるものです。
- 注2:急性期病院
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病気など発症間もない急性期の患者に、一定期間集中的な治療をするための病床を持つ病院です。
- 注3:出来高払い方式
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診療行為毎の医療費を合計して算出する方式です。
- 注4:DPCデータ
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「Eファイル(診療報酬の出来高情報・診療行為の大枠を示す)」
「Fファイル(診療報酬の出来高情報・Eファイルの各レコード明細)」
「Dファイル(診断群分類点数表により算定した患者に係る診療酬請求情報)」
「様式1(診療録情報・退院サマリ情報)」
注釈/リンク
商標、登録商標:
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関連リンク: |
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※掲載のニュースリリース情報は、発表日現在のものです。 |
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