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Foresight in sight

ニュースリリース

2004年8月24日

日本ユニシス
ユビキタス時代のIT利活用をNGEMアーキテクチュアで実現

〜 現実世界と統合した次世代のサイバー空間を目指して 〜
NGEM(Next-Generation Enterprise Middleware)

 日本ユニシス株式会社(本社:東京都江東区、社長:島田 精一、以下日本ユニシス)は、ユビキタス時代のIT利活用のために先端技術を統合した次世代情報システム基盤Next-Generation Enterprise Middleware(開発コード名:以下NGEM)を発表します。NGEMは、多種多様なデータを現実世界に即した形で整理し、IT利活用を促進します。

 昨今、住宅、路上、工場、店舗といったあらゆる場所に、コンピュータが組み込まれ利用されています。たとえば、住宅ではエアコン、冷蔵庫、テレビ、路上では携帯電話、自動車ではカーナビ、工場ではICタグ、無線LAN、各種センサー、店舗ではICカード、電子マネーなどが使われています。再開発地域では、区画全体に情報機器が配置されています。これからのビジネスには、情報機器から得られた大量のデータをいかに利活用し機器を連携させるのかと同時に、他社システムと自社システムをスムーズに連携させていくことが重要になります。

 ユビキタス時代のビジネスを支えるシステム構築のためには、次のような課題を解決する次世代情報システム基盤が不可欠です。

1. コンピューティングリソースの利活用の容易化
IPネットワーク内には、様々な情報機器、データ、アプリケーションが存在します。ユビキタス化の進行にともない、これらのコンピューティングリソース(システムから利用できる資源)の多種多様化、大量化が進み、システムは複雑化しています。コンピューティングリソースをアプリケーションから容易に利活用できることが必要です。
2. ITの社会基盤化とデータ流通
ITは、主に企業システムを支えてきました。しかし、様々な企業システムが接続され、個人との相互作用(インタラクション)が増加していく今後、ITは個人、企業、官公庁、自治体などをつなぐ公共的な社会基盤となっていきます。すなわち、通信や交通などと同様に社会生活を支える存在になります。そして、接続された様々なシステム間での安全なデータ流通が求められます。
3. 情報セキュリティの確保
昨今、個人情報の漏洩が社会問題となり、コンピュータウィルスの被害が発生するなど、情報セキュリティの重要性が増大しています。セキュリティの確保は、コンピュータシステムにとってなくてはならない基礎です。
4. システム開発の迅速化と維持管理のコスト削減
ビジネスを支えるシステムも、ビジネス成長に応じ成長、変化し、長期にわたるライフタイム全般を支えていかなければなりません。初期開発、ビジネスモデルの変化に合わせた変更、処理能力の向上など、迅速、容易に行えることが必要です。

 日本ユニシスは、これらの課題を解決する次世代情報システム基盤NGEMを研究開発しています。NGEMは、情報を現実世界に即して整理して処理することにより、コンピューティングリソースの利活用と企業間システム連携を促進します。

 NGEMでは、4階層の基盤とアプリケーションでシステムを捉えます。核となるのは「サイバーコンピューティング基盤」です。四つの階層は、最も基礎的な層からアプリケーションに向かって、以下のようになります。

1. 分散コンピューティング基盤
安全、高信頼、高性能のコンピューティングを実現します。認証、暗号化、アクセス制御などによりセキュリティを確保し、ログ採取によりセキュリティ事故発生後の解析を容易にします。また、負荷分散、障害時切り替え、構成変更などを自律的に実行することにより、運用負荷を軽減します。オープンソースソフトウェアを有効活用し、長期間安心して使い続けられる基盤を提供していきます。
2. リソースアクセス基盤
アプリケーションから、位置とアクセスプロトコルを意識することなく、統一的な方法でリソースにアクセスできます。付加情報、メタ情報(データの形式や意味を表す情報)を含めて管理し、時系列にデータを蓄積するため、目的のリソースを容易に検索、利用することができます。分散管理や圧縮などを使用して大量データの処理を可能にするとともに、サービス連携もサポートします。
3. サイバーコンピューティング基盤
現実空間のモノをサイバー空間内のエンティティ(実体=意味のあるかたまり)に対応づけ、個々の情報システムや機器の都合による認識・操作ではなく、人間や企業の都合による認識・操作を可能にします。たとえば、野菜の物流システムを考え、野菜にはICタグが貼付されているとします。「モノをエンティティに対応づける」とは、ICタグから読み出されたIDを直接ビジネスロジックが扱うのではなく、仮想的に野菜エンティティを設定しそれをIDに関連づけ、ビジネスロジックは野菜エンティティを扱えるようにするということです。エンティティ間に関係を定義し操作することができるため、ビジネスロジックを現実世界に沿ったわかりやすい形で記述することができます。また、アクセス制御により安全な情報流通ができます。
4. 共通サービス群
高付加価値を提供するアプリケーションを作成するのに有用な機能を提供します。
・ エンドユーザ現在置かれている状況により、制約条件、ポリシーにしたがった処理を可能します。

 NGEMの開発は、産学官連携プロジェクトやオープンソースコミュニティの中で他社や他団体と協働して行います。NGEMの第1版は、エンティティ操作を中心とした基本機能を2004年12月にオープンソース版としてリリースする予定です。


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