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Foresight in sight

ニュースリリース

2003年8月7日

ユビキタスIDセンター、日本ユニシス
「ユビキタスID解決サーバ」の接続試験成功

〜 ユビキタスコンピューティング実現をさらに加速 〜

 ユビキタスIDセンター(東京品川区、代表=坂村健・東京大学教授/YRPユビキタス・ネットワーキング研究所長/T-Engineフォーラム会長)と日本ユニシス株式会社(東京都江東区、社長=島田精一)は、8月6日、ユビキタスID技術の一部である、ユビキタスID(uID)解決サーバに関する接続試験に世界で初めて成功しました。日本ユニシスは、ユビキタスIDセンターが定めたuID解決仕様に基づきuID解決サーバを開発、ユビキタスIDセンターのクライアントアプリケーションとの間でメッセージを交換し、uIDの登録、削除、解決が行えることを確認しました。なお、ユビキタスIDセンターではセキュリティを高めるために、メッセージの交換においてeTP(注1)の利用を原則としており、本試験で使用したuID解決サーバもeTPに準拠しています。

 物品、動植物など環境にあるあらゆる「モノ」にIDタグが付帯され、様々なサービスが創出されるユビキタス・コンピューティングの時代が目前に迫っています。IDタグに格納された情報に基づき様々な「モノ」の状態がリアルタイムに把握できる世界が実現されようとしています。

 ユビキタスIDセンターは、2003年3月の設立以来、「モノ」を自動認識するための基盤技術の確立と普及、さらにユビキタス・コンピューティングの実現を目指した研究活動および標準化活動を進めてきました。同センターは、ユビキタス・コンピューティング環境を実現する機器の開発プラットフォーム規格推進団体である「T-Engineフォーラム(注2)」内に設置されています。ユビキタスIDセンターが提唱するアーキテクチャは、製品に付与するID(uID)、IDタグを読み書きするためのユビキタス・コミュニケータ、製品に関する情報が格納されている製品情報サービスサーバ、そしてuID解決サーバで構成されます。uID解決サーバは、製品に付与されたuIDをもとに"製品情報サービスサーバがどこに存在するか"を問い合わせるためのサーバで、インターネットにおけるDNS(注3)のような働きをします。

 ユビキタスIDセンターは、ユビキタス環境において「モノ」を自動識別するためのuIDを付与するIDタグの認定作業を進めており、現在、日立製作所の「ミューチップ」、凸版印刷の「T-Junction」、YRPユビキタス・ネットワーキング研究所・東京大学坂村研究室・ルネサステクノロジの「eTRON/16-AE45X」を標準IDタグとして認定しています。これら認定標準IDタグにアクセスできる共通インタフェース装置を内蔵した携帯型端末の開発も進めています。
 また、現在はYRPユビキタス・ネットワーキング研究所、よこすか葉山農業協同組合、京急ストア、東京大学坂村研究室と共同で「生鮮食料品のトレーサビリティシステム」の実証実験を進めています。

 日本ユニシスは「T-Engineフォーラム」設立当初から幹事会社として同フォーラムに参画しており、現在は「ユビキタスID技術ワーキンググループ」および「ユビキタス・コミュニケータワーキンググループ」において活動しています。今回成功したuID解決サーバの接続試験も、この活動の一環として行いました。日本ユニシスは、ユビキタス技術の仕組みを利用して、ユーザニーズに適した新たなビジネスモデルを創出し、システム構築サービスを行っていきます。

以下はユビキタスID技術アーキテクチャのイメージ図です。

 今回ユビキタスIDセンターと日本ユニシスが共同で行った接続試験は、上図のユビキタスID技術アーキテクチャのうち、ユビキタス・コミュニケータとuID解決サーバ間の通信を対象とし、uID情報の登録、削除、解決を実施しました。また、メッセージ交換の際は、相互認証と暗号化に関しても検証を行いました。

 今後、ユビキタスIDセンターと日本ユニシスはユビキタス・コンピューティングの実現に向け、様々な共同実験を予定しています。これらの活動を通じて
  ・安全で使いやすいユビキタスIDに関する規格、仕様の策定
  ・ ユビキタスID技術の普及 を推進して行きます。
 また、日本ユニシスは共同実験で得られる成果に基づき、日本市場のみならず世界市場も視野に入れたビジネスモデルを創出し、販売展開につなげていきます。

(注1):eTP
TRONプロジェクトで規定されたセキュア通信のためのPKI(Public Key Infrastructure:公開鍵暗号基盤)を利用した暗号・認証規格。
(注2):T-Engineフォーラム(http://www.t-engine.org/)
2002年6月24日、ユビキタス・コンピューティングの基盤開発システム推進団体として発足。T-Engineフォーラムは、T-Engineプロダクトを開発する企業、ミドルウェア製品を開発する企業とともにT-Engine開発プラットフォームを利用して応用製品を開発する企業からの参加も広く募集しており、ユビキタス・コンピューティング環境を構築する推進主体として活発な活動をしている。会長は、坂村健(トロンプロジェクトリーダー/東京大学教授/YRPユビキタス・ネットワーキング研究所所長)。
(注3):DNS
Domain Name Systemの略。ネットワークにあるマシンの名前とIPアドレスを変換するシステム。10進数で表記されている覚えにくいIPアドレスを使用せず、インターネットに登録されたドメインネームを使って通信を可能にする。

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