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Foresight in sight

ニュースリリース

2000年8月7日

オンリーワン社と日本ユニシス
世界初の3次元靴底型設計用CAD「ModelMaker」を共同開発

〜オンリーワン社にて短期間、低コストで靴底金型を製作できるEビジネスを開始〜

 オンリーワン株式会社(社長=樹田祥達氏 兵庫県神戸市長田区細田町)と日本ユニシス株式会社(社長=天野順一 東京都江東区豊洲1-1-1)は、共同で靴底デザインモデル作成システムとして、3次元CADソフト「ModelMaker(モデルメーカ)」を開発しました。
 また、オンリーワン社は同ソフトを導入した契約ユーザ(製靴メーカ、アパレルメーカなど)がデザインしたデータをWeb経由で取り込み、デザイン支援、靴底試作モデルおよび金型を製作して、ユーザに提供するEビジネスを7月より開始しました。

 現在、靴製造業界は、消費者ニーズの多様化に伴うライフサイクルの短命化、PL法に則した一層の品質向上への対応、発展途上国から輸入される廉価製品との競合などの問題を抱えています。これらの課題に対応するには、靴製造業界全体の経営近代化を図り、国際競争力を押し上げることが必要とされています。さらにアパレルメーカが、トータルファッションの一部として靴製造業界に参入しており、日本国内におけるデザイン性と製造スピードの向上が今まで以上に要求されています。

 また、日本の製靴メーカの80%が集中する兵庫県長田・須磨地区では、1995年の阪神・淡路大震災の影響もあり、工程の複雑さなどからIT化が遅れ、靴製造において最も重要な工程であるデザイン工程、靴底の試作及び型製作は、ラフスケッチ、手作業および倣(なら)い加工を使用し開発を進めているのが現状であり、業界自体のITレベルの底上げが急務になっています。

 今回、両社で共同開発した「ModelMaker」は、金型分野においてトップシェアを占める日本ユニシスの3次元統合CAD/CAM「CADCEUS(キャドシアス)」をベースとして、CADの知識がなくてもパソコン上で容易にデザインモデルを作成できる、世界初の製靴・アパレル業界向け本格的CADシステムです。

 「ModelMaker」は次の特徴を備えています。

  1. 靴底全パーツ(ヒール、ソール、ウェッジ(注1)、ストーム(注2))のデザインが可能。

  2. CADの知識がなくても、パソコン画面上の業務専用メニューをクリックするだけで、"ユーザ・ライセンス取得〜起動〜デザイン開始〜終了〜配信"までの一連の作業を自動化し、デザイナーはデザイン業務に専念できる仕組みの提供。

  3. 感性にあったデザインモデルを対話型で、パソコン上に創生することが可能。

  4. 完成デザインモデルは、オンリーワン社のセンターサーバに保管することにより、部分修正や次回類似品作成に活用することが可能。

 「ModelMaker」の開発によりオンリーワン社は、靴底のデザインから金型製作までを支援する新しいEビジネスを開始しました。この新ビジネスの特徴は次のとおりです。

  1. 「ModelMaker」を靴/アパレルメーカにレンタルし、メーカはオンリーワン社のWebを介し、必要の都度、デザインモデルに基づく金型製作を依頼する。初回ユーザ登録料5万円、レンタル料5万円/月額(4年契約)、日本ユニシスが代理店を通じ販売。

  2. デザインモデル作成にあたり、靴/アパレルメーカがもつ足型(ラスト)をCADデータに置き換えるサービスを実施し、オンリーワン社のデータベースサーバに保管する。メーカはこの基準データをもとにパソコン上でデザイン業務を行うため、今までのアナログ手法のデザインに比べ、飛躍的なスピードアップが実現できる。
    併せて最新海外ファッション情報データベース(オプション、海外主要6都市の情報:2万円/月額)などを参照しながらデザイン検討が可能になる。

  3. ユーザで完成したデザインモデルを再びWebを介してオンリーワン社のサーバに自動返送し、オンリーワン社は試作モデルを製作の後、独自の特殊金型製法にて短期間で本格 金型に仕上げ、メーカに対し納品を完了する。

 同システムを利用することにより、従来靴底金型製作に約3〜6週間、25〜50万円程度かかっていた製作期間と費用が、5日間、9万円と飛躍的に削減されます。また、試作モデルや金型データはデータベースに保管されるため微調整や流用も可能です。さらに金型そのものはアルミと特殊セラミック製で、使用後はリサイクルも可能となります。

 「ModelMaker」に対しては現在、兵庫県内のみならず全国から800件を超える問い合わせがあり、すでに54社141台が契約を締結しています。今後は靴製造業の枠を超え製造業全体へ、海外も含めたグローバル市場を視野に入れた形でのEビジネスへ展開していきます。
 なお、オンリーワン社によるこの特殊金型製作ビジネスモデルは、靴メーカに限らず他業種メーカ(ゴルフクラブ、携帯電話、タイヤなど)にも展開が可能であり、ライセンス・チェックおよび一連の自動操作をネット上で実現したこの仕組みはビジネスモデル特許申請中です。

 オンリーワン社のEビジネスおよびビジネスモデルと、日本ユニシスのIT技術の融合が、コスト削減、スピード化を実現するデジタル・エンジニアリング環境を作り出し、空洞化が危惧される国内製造業が国際競争力を高めるための支援になると考えます。
 また今後、世界を目指す両社は「ModelMaker」を製靴・アパレル業界において業界標準CADとすべく展開していく予定です。