2000年7月6日
オークマと日本ユニシス
新コンカレント・エンジニアリング・システム共同開発、販売提携に合意
〜設計から製造までのトータル・ソリューション・ビジネス〜
オークマ株式会社(社長=柏淳郎氏 愛知県丹羽郡大口町下小口5-25-1)と日本ユニシス株式会社(社長=天野順一 東京都江東区豊洲1-1-1)は、加工・組立産業界における設計から製造までのリードタイム短縮を実現する、「新コンカレント・エンジニアリング・システム」の共同開発をスタート、今後の販売に関する提携に合意しました。
需要構造の変化は、メガ・コンペティションと重なって価格競争力の激化を招くとともに、短納期の要求をますます強めています。加工・組立産業においても、製品寿命の短サイクル化を前提として"価格競争力"、"短納期"、さらには"品質向上"が企業生き残りの必須要件となってきています。
このような外部環境変化に加え、企業の内部要因においても加工・組立産業を支えている熟練者の不足が危惧され、設計から製造までの広い範囲で技術・技能(ノウハウ)の伝承と知識創造が大きな課題となっています。
オークマは昭和38年に独自技術によるNC (注1) 装置「OSP」を発表以来、機電融合技術を核に12万台以上を市場に投入しています。また、業界で初めてNC装置に内蔵したCAM機能である「IGF」および「らくらく対話」は対話型プログラミング技術によって、それまで熟練者のみが保有していたノウハウをよりやさしく、より速くNCプログラムに反映することを可能にしました。以来、このCAM機能は30,000シートの販売実績があり、"省熟練実現システム"として加工・組立産業界をリードしてきました。
日本ユニシスは平成3年に3次元統合CAD/CAM「CADCEUS」を発表、以来10,000シートを超える販売実績があります。現在、同ソフトウェアは自動車・機械業界を中心に金型分野では日本におけるトップシェアを占め、海外展開においても国内での実績をベースに同ソフトウェアの拡販を図っています。
また、「CADCEUS」はユーザニーズをきめ細かく反映するために1年に2度のバージョンアップを実施し、機能面の充実を図っています。
両社は平成8年より「CADCEUS」を通じて販売協力契約を締結したビジネス・パートナーです。
今回、両社では加工・組立産業の複合的な課題を解決する、新しいコンセプトのエンジニアリング・システムを共同開発します。この「新コンカレント・エンジニアリング・システム」は、オークマのNCおよびCAM技術と、日本ユニシスのCAD/CAM技術の融合から生まれたシステムであり、設計から製造までのトータル・リードタイムを大幅に短縮することができます。また、設計から製造までの同時並行的かつ組織的な知識創造活動をサポートします。
今回、共同開発、販売提携する「新コンカレント・エンジニアリング・システム」は次の特徴を備えています。
「CADで設計したら直ちにNC工作機械で加工が出来る」を実現
- 3次元設計から製図、解析、加工まで統合された製品モデルを持つ「CADCEUS」とオークマの「OSP」および同装置に内蔵したCAM機能「らくらく対話」を融合させることにより設計から加工現場に至る間でのデータの重複入力を廃し、設計意図をそのまま現場に伝える加工属性の取り込みを可能としています。
- 加えて、設計から加工現場に至る間の技術・技能(ノウハウ)をデータベース化して、技術、技能(ノウハウ)の伝承と新たな創出を可能にします。
本提携により、両社は加工・組立産業において益々多様化・複合化するユーザニーズに的確に対応する商品群とサービス能力を持つことになります。
オークマは「新コンカレント・エンジニアリング・システム」の共同開発に当たり、先に発表した、21世紀IT工場を実現するオークマ・ネットファクトリー「IT plaza」のソリューションの一つとして位置付け、NC技術とCADとの統合を実現します。日本ユニシスは、より高度に加工・組立産業に対応した「CADCEUS」の商品強化を行います。
★ | 今後の展開 オークマと日本ユニシスは今回の「新コンカレント・エンジニアリング・システム」の共同開発を契機として両社の共通の顧客や市場に対する幅広いトータルソリューション・ビジネスの協業を行う提携関係への発展を目指していきます。 加工・組立産業の発展の土台を築いたNCが、NCプログラマーという新しい職種を創り出したように、この新コンカレント・エンジニアリング・システムは、21世紀の加工・組立産業の発展の要となる知識創造エンジニア(KCエンジニア: Knowledge Creating Engineer)という新しい職種を創り出していくと考えます。 |
注1) | NC: Numerical Control(数値制御)の略。工作機械の動きを数値情報とサーボ機構により制御すること |
* | 記載の会社名、商品名は各社の商標または登録商標です。 |